2026/10/20
高い成果を上げてきた管理職、専門能力に優れた社員、重要な部門を任されている責任者。そのような人についてパワハラの問題が生じると、企業は難しい判断を迫られることがあります。
「仕事はできる」「会社への貢献も大きい」「この人がいなくなると現場が困る」。こうした事情が、問題となった言動への対応を曖昧にする理由になってはいけません。
一方で、問題となった行動があったことと、その人が持つ能力や経験のすべてを否定することも同じではありません。
必要な責任を求めながら、本人が行動を改善し、これまでの能力をより適切な形で活かせるかを考えることも、企業の再発防止の選択肢になります。
「仕事ができるから」で問題を小さくしない
高い成果を上げていることは、問題となった言動を正当化する理由にはなりません。
目標達成を求めること、仕事の品質を求めること、部下へ改善を求めることは、管理職として必要な場合があります。
しかし、その目的が必要なものであっても、相手の人格を否定する、必要性を超えて強い叱責を続けるなどの方法まで認められるわけではありません。
一方で本人を「問題を起こした人」だけで固定しない
問題となった行動について必要な対応を行った後も、本人を過去の出来事だけで評価し続ければ、改善への道筋をつくりにくくなることがあります。
専門性、判断力、責任感、仕事への熱意など、本人がこれまで組織の中で発揮してきた能力まで失わせる必要はありません。
必要なのは、そうした能力を維持しながら、他者への関わり方を変えることです。
高い成果の「出し方」を振り返る
目標を下げることではなく、部下へ目標を伝え、支援し、進捗を確認する方法を見直します。
感情的に責めるのではなく、何が理解できていないのか、何が障害になっているのかを確認する方法を考えます。
叱責を強めるだけではなく、原因や指示内容を確認し、改善してほしい行動を具体的に伝えます。
繁忙期やトラブル時に言動が強くなるのであれば、自分の状態に気づき、いったん時間を置くなどの方法も考えます。
本人の「成功体験」が影響している場合もあります
長年成果を出してきた方ほど、「このやり方で自分は成長した」「自分も上司から厳しく指導されてきた」という経験を持っていることがあります。
本人にとっては、その方法が成功につながったという実感があるため、単純に「今までのやり方は全部間違っていた」と伝えても受け入れにくい場合があります。
そこで、本人が大切にしている仕事への姿勢を確認しながら、同じ目的を現在の職場に適した別の方法で実現できないかを考えます。
「もう指導しない管理職」にしない
パワハラ問題を経験した管理職が、「今後は何も言わない」と考えることがあります。
しかし、それでは管理職として必要な役割を果たすことが難しくなります。
再発防止で必要なのは、厳しい内容を伝えること自体を避けるのではなく、事実と改善点を明確にし、相手の人格を否定することなく伝える方法を身につけることです。
本人が再び管理職として適切に職務を担うためには、「禁止」だけではなく「適切な指導方法」の学びも必要です。
管理職本人に合わせた個別支援
問題となる場面は管理職によって異なります。
部下の能力に対する期待が高すぎるのか、感情が言葉へ出やすいのか、相手の説明を聞くことが苦手なのか、責任を一人で抱え込みやすいのか。
本人自身の特徴や実際の職場での場面を振り返ることで、一般論では見えにくい改善点を整理できます。
パワハラ加害者更生カウンセリング研修という選択肢
一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、問題となった行動を振り返りながら、管理職として今後どのような行動を選択するかを考える個別の更生カウンセリング研修を実施しています。
本人の能力や人格全体を否定するのではなく、変える必要のある具体的な行動へ焦点を当て、再発防止と職場での行動改善を支援します。
「活かせる力」と「変えるべき行動」を分けて考える
仕事への責任感、専門性、成果への意識など、本人の強みとして活かせるものがあります。
一方で、相手への伝え方や感情の表し方など、変える必要のある行動があります。
この二つを整理し、本人が再び適切な形で組織に貢献できる状態を目指すことも、再発防止の一つの考え方です。
管理職のパワハラ再発防止をご相談ください
管理職としての能力を活かしながら問題となった行動を改善したい、処分後の個別教育を検討したいなど、企業・団体の状況に応じてご相談を承ります。
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