パワーハラスメントとは

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パワーハラスメント(パワハラ)防止措置
大企業は2020年6月、中小企業は2022年4月より義務化

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)防止措置が、大企業は2020年6月から、中小企業は2022年4月より義務化されました。

職場でパワーハラスメント(パワハラ)を受けた人の割合が3割強、また都道府県労働局に寄せられる「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が8万件を超える状況の中、2019年の第198回通常国会において「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、これにより「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(「労働施策総合推進法」)が改正され、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)防止措置が事業主に義務付けられました。

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、経営上大きな損失につながる行為です。個人としての尊厳や人格を不当に傷つける等、決して許される行為ではなく、職場全体の生産性や意欲の低下、人員の流失、企業イメージの悪化等をまねく恐れがあります。

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、パワハラ被害者・パワハラ行為者・周囲の人々を含め職場で働く全ての人たちにも甚大な悪影響を及ぼします。パワハラ被害者は、働くことへの意欲の減退、自信喪失により、個人の能力を適切に発揮できなくなる恐れもあります。また、パワーハラスメント(パワハラ)が原因で職を失うこともあり、人が人らしく生きる環境そのものの悪化をもたらすこともあります。一方、パワハラ行為者にとっても、懲戒処分されたり、損害賠償請求されたりするリスクがあり、パワハラ被害者同様にパワーハラスメント(パワハラ)により大きな不利益が被ることが考えられます。

パワーハラスメント(パワハラ)の民事上の責任として、パワハラ行為者は民法上、不法行為責任を負う(民法709条)可能性があります。会社も使用者責任(民法715条)によりパワハラ行為者と連帯して損害賠償義務を負うことが考えられます。また、パワーハラスメント(パワハラ)防止のための措置を怠った組織は、組織に配慮義務の違反があるとして、債務不履行に基づく損賠賠償責任(民法415条)を負うことがあります。

パワーハラスメント(パワハラ)の問題が発生すると、パワハラ被害者、パワハラ行為者、組織との関係が悪化し、修復さえも困難になることがあります。さらに事態が悪化した場合は、訴訟などの法的手続きにまで発展する恐れがあることから、パワーハラスメント(パワハラ)が起きないように予防的対策を徹底的に講じる必要があります。

組織においてパワーハラスメント(パワハラ)が発生した場合は、迅速で適切な対応が求められます。パワハラ被害者から相談があった場合の第一次対応次第で今後の解決への道筋が決まるともいわれています。パワーハラスメント(パワハラ)の相談はある日突然やってきます。パワハラ相談窓口の担当者は、パワーハラスメント(パワハラ)への意識を高め、相談員としてのスキルを磨くことが重要です。

パワーハラスメント(パワハラ)防止対策が組織の存続を左右すると言っても過言ではありません。パワーハラスメント(パワハラ)について正しく理解し、徹底した防止対策を講じ、問題が発生した場合の迅速な対応を心がける姿勢が組織の生産性を高め、ひいては日本社会全体の生産性をも高めることにつながります。

 

 

■職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)について事業主に防止措置を講じることを義務付けています。併せて、事業主に相談したこと等を理由とする不利益取扱いも禁止されています。

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、職場において行われる以下①~③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。

① 優越的な関係を背景とした言動であって、
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
③ 労働者の就業環境が害されるもの

なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)には該当しません。

■職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)について

①「優越的な関係を背景とした」言動とは
業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。

②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは
社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。

この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者の関係性等)を総合的に考慮することが適当です。

その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然、職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)に当たり得ます。

③「就業環境が害される」とは
当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。

■職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の6類型

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)の状況は多様ですが、代表的な言動の類型としては以下の6つの類型があり、類型ごとに典型的にパワーハラスメント(パワハラ)に該当し、又はしないと考えられる例としては以下のようなものがあります。

  1. 身体的な攻撃(暴行・傷害)
  2. 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
  3. 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
  4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
  5. 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
  6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

■パワーハラスメント(パワハラ)を防ぐために事業主が雇用管理上講ずべき措置

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)を防止するために、事業主が雇用管理上講ずべき措置として、主に以下の措置が厚生労働大臣の指針に定められています。事業主は、これらの措置について必ず講じなければなりません。派遣労働者に対しては、派遣元のみならず、派遣先事業主も措置を講じなければなりません。

✔ 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

  • パワーハラスメント(パワハラ)の内容
  • パワーハラスメント(パワハラ)を行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  • パワーハラスメント(パワハラ)の行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

✔ 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

  • 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。
  • 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。パワーハラスメント(パワハラ)が現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、パワーハラスメント(パワハラ)に該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。

✔ 職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)への事後の迅速かつ適切な対応

  • 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
  • 事実関係の確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと。
  • 事実関係の確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
  • 再発防止に向けた措置を講ずること。

✔ 併せて講ずべき措置

  • 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること。
  • 事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

出典「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました︕」
厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)

パワーハラスメント相談窓口設置の義務化

2020年6月に職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)防止対策が義務づけられ、中小企業においてはパワハラ防止対策が2022年4月から義務づけられました。それに伴い、「パワーハラスメント相談窓口」(以下、ハラスメント相談窓口)の設置が義務化されました。

「ハラスメント相談窓口」には、「内部相談窓口」と「外部相談窓口」の二つがあります。内部相談窓口は、人事労務担当部門、コンプライアンス担当部門などが担うことも多くなりますが、担当者への負担が非常に大きくなります。

日常の業務に加え、「ハラスメント相談窓口」を担当する人への負担は厳しさを増すばかりです。“相談の受け方が分からない”、“本当にこの対応で良いか不安だ”などというハラスメント相談窓口担当者からの悲鳴をよく耳にします。

一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、ハラスメント相談窓口担当者のお悩みを解決するために「ハラスメント相談窓口担当者向け研修」を実施しております。「ハラスメントとは何か」という基本的なことから、「相談の受け方」、「相談テクニック」をはじめ、さまざまな相談ケースを「ロールプレイ」を通じ、ハラスメント相談窓口担当者が安心して相談を受けられるようになることを目指します。

ハラスメント相談窓口 設置と運用のポイント

■相談窓口の種類

相談窓口には、内部相談窓口と外部相談窓口があります。それぞれの窓口がパワーハラスメントを含めたさまざまな相談に対応できると相談しやすくなります。

■安心して相談できる窓口とは

  • 相談者のプライバシーが確保できる部屋があること
  • 相談内容の秘密が守られること
  • 相談者が不利益な取り扱いを受けないこと
  • 相談対応の全体の流れがわかりやすいこと(相談窓口の役割や、解決までの流れ、等が明確に説明できる)

■相談担当者の役割

  • ハラスメント相談担当者の役割は大きく分けて2つあります。

《相談の受付(一次対応)》
相談窓口は一次対応として、相談者からの相談を聞いて、その後の事実関係の調査等は人事担当部署などの他の担当部署に引き継ぐ仕組み。大企業や他の相談窓口を兼ねている場合は、一次対応としての役割とその後の役割を分ける場合が多い。

《相談の受付(一次対応)+事実確認など》
相談窓口は一次対応だけではなく、事実確認など事後の対応を一貫して担当する仕組み。事業規模が小さい場合や相談が多くない場合は、一連の対応を相談窓口が担当する場合が多い。相談窓口担当者が事実確認まで実施する場合は、相談者の心情に配慮しながら、相談者の主張と事実関係を整理し、中立・公平な立場で事実関係を整理する力量も必要となる。

■相談担当者の人選

  • ハラスメントや人権問題に対する十分な理解を持つ者を選任する
  • 中立的な立場で相談を受け、解決に向けて取り組むことができる人材を選出する
  • 男女含めた複数の担当者を選任する
  • 外部に相談の内容が漏れることがないよう守秘義務を徹底できる人材を選出する

■相談対応の大まかな流れ

■相談対応の大まかな流れ

■相談窓口の運営ポイント

  • プライバシーが確保できる部屋の準備
  • 守秘義務の徹底
  • 相談窓口での対応の明確化
  • 相談窓口対応マニュアルの作成
  • 相談記録票の準備
  • 相談担当者のスキルアップ
  • カウンセラーや医師など専門家とも連携してフォローできる体制の整備

■相談窓口を利用しやすくなる取り組み

ハラスメントの相談をするのはハードルが高いと考える相談者が多くいます。相談者が相談しやすい窓口になる取り組みが必要です。

  • 相談窓口の周知
  • 複数の相談方法を準備(面談・電話・メールなど)
  • 相談者への不利益な取り扱いの禁止を周知
  • 守秘義務の徹底を周知
  • 相談対応の流れを周知
  • 相談者と協議の上、問題解決を図るために相談窓口以外の担当者へ連絡をすることがある旨も周知

■相談窓口担当者の心構え

  • 相談者にとってハラスメントの問題を相談するのはハードルが高いことを理解する
  • 1回の相談は50分を限度にする(面談の初めに相談者に伝える)。50分を超える場合は、別の日に面談を設ける
  • 相談者のプライバシーを守ること、相談によって社内で不利益な取扱いを受けないことを面談前に説明
  • 中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、相談しやすい対応を心がける
  • 自分の価値観や偏見を持つことは厳禁
  • 相談者が主張する事実を正確に把握することが目的であり、意見を言うことは控える
  • 相談者の気持ちを考え、言葉や態度で傷つけないように配慮する

■相談窓口担当者のNG発言

(1) 「パワハラを受けるなんて、あなたの行動にも問題(落ち度)があったのではないか」と相談者を責める
(2) 「どうして、もっと早く相談しなかったか」と責める
(3) 「それは、パワハラですね/ それは、パワハラとは言えません」と断定する
(4) 「これくらいは当たり前、それはあなたの考え過ぎではないか 」と説得する
(5) 「そんなことはたいしたことではないから、我慢した方がよい」と説得する
(6) 「(行為者は)決して悪い人ではないから、問題にしない方がいい」と説得する
(7) 「そんなことでくよくよせずに、やられたらやり返せばいい」とアドバイスをする
(8) 「個人的な問題だから、相手と二人でじっくりと話し合えばいい」とアドバイスをする
(9) 「そんなことは無視すればいい」とアドバイスをする
(10) 「気にしても仕方がない。忘れて仕事に集中した方がよい」とアドバイスをする

■ハラスメント相談記録票への記入

相談を受ける時はあらかじめ準備したハラスメント相談記録票へ記録します。相談者が希望する場合は、人事担当部署などに相談内容を伝え、事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得ます。
《ハラスメント相談記録票項目例》
✔ いつ(年 月 日 時間)/ 頻度や期間
✔ 誰から
✔ どのような(場所、状況、具体的な言動など)
✔ 他の同席者や目撃者の有無/所属や名前など
✔ 他にも同様の被害を受けている者はいるか
✔ このような行為に至る想定される理由(背景)
✔ 今後の対応の希望(調査を希望する・しないなど)
✔ 今後の対応の流れ(対応時間・連絡方法など)

■ハラスメント相談窓口担当者のスキルアップ

ハラスメント担当者は、相談窓口として必要な知識とスキルを身につけ、常日頃からスキルアップを図ることが必要です。当協会のハラスメント相談員向け研修では以下について学びます。

  • ハラスメントに関する基礎知識
  • ハラスメント相談窓口の役割
  • ハラスメント相談窓口とカウンセリングの違い
  • ハラスメント相談担当者に必要なスキル
  • ハラスメント担当者としての望ましい振る舞い
  • ハラスメント担当者としてNGな振る舞い
  • ハラスメント相談ロールプレイ ほか

■ハラスメント相談窓口留意点

  • 軽微と思われる内容であっても、深刻な問題が潜んでいる場合や、この段階での対応次第で、相談者の不信感を生み、問題解決に支障が出るばかりか、組織に対する不信感が生じる可能性があります。
  • 相談窓口担当者は、相談者の話を傾聴する姿勢が大切であることを認識し、詰問にならないように注意する必要があります。
  • 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には、産業医などの医療専門家等へのルートを確立しておくことも大切です。
  • 相談担当者が深刻な問題などを無理に解決しようとしないように注意し、相談の範囲を予め決めておくことが大切です。

■事実関係の確認におけるポイント

  • 相談者の了解を得た上で、行為者や第三者に事実確認を行います。
  • 行為者に対して事実確認を行う際には、中立な立場で行為者の話を聴きます。
  • 相談者の認識に誤解があった場合にも、加害者には報復などは厳禁であることを伝えます。
  • 相談者と相手の意見が一致しない場合には、同席者や 目撃者もしくは、同様のハラスメントを受けている者に事実関係の調査を行います。
  • 第三者に話を聞くことで、当該問題が外部に漏れやすくなるので、第三者にも守秘義務について十分理解してもらい、事実確認を行う人数は、できる限り絞ります。
  • 相談者、行為者、第三者の意見が一致するとは限りません。それぞれの主張を合理的に判断する情報と考えるようにします。

■事実関係の調査

  • 行為者に対して事実確認を行う際には、中立な立場で行為者の話を聴きます。
  • 行為者も大切な従業員の一人ですから、最初から犯人扱いをしたり、語気を荒げたりすることなく、事実をしっかり聞き取ることが大切です。
  • 相談者の認識に誤解があった場合にも、相談者が会社に居づらくなったり、報復を受けたりしないように配慮して事実確認を行います。
  • 通常は、相談者と行為者に事実確認を行い、意見が一致しない場合に第三者 に事実確認を行います。 ただし、緊急性が高い場合や、証拠隠滅の恐れがある場合は、行為者の前に 第三者に事実確認を行う場合もあります。

■第三者への事実関係の調査

  • 相談者と相手の意見が一致しない場合には、第三者に事実確認の調査を行います。同席者や目撃者もしくは、同様のハラスメントを受けている者の中から、行為者や相談者が話を聞いてもらいたいと指名した従業員に事実関係の調査を行います。
  • 第三者に話を聞くことで、当該問題が外部に漏れやすくなるので、事実確認を行う人数は、できる限り絞って行います。第三者にも守秘義務について十分理解してもらうようにします。
  • 事実確認の目的は、相談者、相手、第三者の意見を一致させることではなく、それぞれの主張を合理的に判断する情報と考えるようにします。

■同席者や目撃者もしくは、同様のハラスメントを受けている者への事実関係の調査項目

✔ 実際に相談対象となっている行為はあったか
✔ 相談者との関係
✔ いつ(年 月 日 時間)/ 頻度や期間
✔ どのような(場所、状況、具体的な言動など)
✔ 他の同席者や目撃者の有無/所属や名前など
✔ 他にも同様の被害を受けている者はいるか
✔ このような行為に至る想定される理由(背景)
✔ ハラスメントを受けた相談者の反応や行為者の反応など

■行為者・相談者へのとるべき措置を検討のポイント

  • 事実確認の結果には、3 つのパターンが考えられます。その結果をふまえて、対応案を検討します。
    1. ハラスメントがあったと判断できる場合
    2. ハラスメントがあったと判断することはできないが、そのままでは事態が悪化する可能性があり、何らかの対応が必要な場合
    3. ハラスメントの事実が確認・評価できない場合
  • 特に、「ハラスメントがあったと判断することはでき ないが、そのままでは事態が悪化する可能性があり、何らかの対応が必要な場合」については、ハラスメントに該当するかを判断しようとするのではなく、行為者の行動や発言にどのような問題があったのかを明確にするようにします。

■対応案の検討

会社としてどのような対応をとるかは、ハラスメントの定義や行為類型と照らし合わせて、以下の要素を踏まえて検討を行います。
✔ 相談者の被害の状況(身体的、精神的な被害の度合い)
✔ 相談者、行為者、第三者への事実確認の結果
✔ 相談者と行為者の人間関係
✔ 当該行為の目的や動機
✔ 時間や場所
✔ 該当行為の程度(質)や頻度(量)
✔ 相談者及び行為者のそれぞれの行動や発言に問題があったと考えられる点
✔ ハラスメントについての就業規則の規定内容
✔ ハラスメントについての裁判例(どのような場合に企業や行為者の法的な責任が問われているか)

■事実確認及び評価の結果

  • 事実確認及び評価の結果には、次の 3 つのパターンが考えられます。
    1. ハラスメントがあったと判断できる場合
    2. ハラスメントがあったと判断することはできないが、そのままでは事態が悪化する可能性があり、何らかの対応が必要な場合
    3. ハラスメントの事実が確認・評価できない場合
  • 対応案としては、行為者又は相談者への注意・指導、行為者から相談者への謝罪、人事異動、懲戒処分などが考えられます。
  • 対応案の検討に当たって、判断に迷った場合は顧問弁護士や社会保険労務士、弁護士会の法律相談、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談することが考えられます。

■ハラスメントがあったと判断することはできないが、そのままでは 事態が悪化する可能性があり、何らかの対応が必要な場合の留意点

  • この場合、対応案の検討にあたって重要なことは、ハラスメントに該当するかどうかを判断することではなく、行為者の行動や発言(相談者に問題があった場合はその行動や発言も含みます)にどのような問題があったのか、どうするべきであったのかを明確にすることです。
  • 行動や発言にどのような問題があったのか具体的に明確にし、行為者に改善を促すことで、事態が悪化する前にすみやかに解決につなげるようにします。

■懲戒に値すると判断した場合

  • 企業秩序を維持するために必要であると考えられる場合には、懲戒処分を検討します。
    懲戒処分は、就業規則に基づき以下が考えられます。
    ✔ 減給
    ✔ 降格
    ✔ けん責
    ✔ 出勤停止
    ✔ 諭旨解雇
    ✔ 懲戒解雇
  • 特に重大・深刻な場合、相談者が懲戒処分等を希望している場合は、相談の内容によっては(被害が大きいケース、判断に迷うケース等)、手遅れにならないうちに解決方法について弁護士や社会保険労務士に相談することが大切です。
  • 「ハラスメント相談記録票」、事実確認の結果は、訴訟に発展した場合の重要な資料になりますから、プライバシーの保護に注意して保存します。
  • 会社が相談者から民事訴訟を提起される恐れがある場合など、紛争の長期化を避けるため、個別労働紛争解決制度のあっせん手続きや労働審判を活用することも選択肢の一つです。

■行為者・相談者へのフォローアップのポイント

  • 相談者・行為者の双方に対して、会社として取り組んだこと(事実関係についての調査、対応の内容とその考え方)を説明し、理解を得るようにします。
  • 行為者の行動や発言にどのような問題があったかを伝えることで、今後同様の問題が起こらないようにします。
  • 相談者にも仕事の行い方などに問題があった場合には、行動や発言にどのような問題があったのかを伝えることで、今後同様の問題が起こらないようにします。

■行為者・相談者の双方への説明

  • 行為者・相談者の双方に対して、会社として取り組んだことを説明し、理解を得るようにします。
    ✔ 事実関係についての調査
    ✔ 対応の内容とその考え方
    ✔ 行為者の行動や発言にどのような問題があったのか、どうするべきであったのか
    ✔ 相談者にも仕事の行い方などに問題があった場合には、行動や発言にどのような問題があったのか、どうするべきであったのか
  • 相談者に行為者の具体的な処分の内容を伝えることは個人情報を伝えることにあたるので、一般的には「会社の就業規則に則り、処分する」と伝えるに留めることが望ましい対応になります。

■相談者へのフォローアップ

相談者へのフォローアップを十分に行う必要があります。それが不十分だと、相談に来た従業員からは、会社は何もやってくれない、相談しても無駄だなどと、逆に不信感を与え事態が悪化してしまうこともあります。そういったことが起こらないように、関係部門と協力し、途中経過のフィードバックなどを相談者に行います。

■行為者へのフォローアップ

  • 行為者へのフォローアップは、時間をかけてじっくり行う必要があります。 例えば、部下を教育していると考えているなど、行為者は正しいことをしていると認識している場合があります。その場合に、十分な説明もなく行為者を処分すると、納得感を持たれないばかりか、行為者自身も心身の健康に不調を来す可能性があります。処分をする場合は、行為者にその理由を説明し、理解してもらうことが重要です。
  • 再発防止のために継続的なフォローアップを行うことも重要です。 同じことを繰り返す行為者の上長は、行為者の言動に目を配り、タイムリーに適切なアドバイスを行うとともに、定期的な面談が必要です。
  • 行為者が、効果的な指導方法やコミュニケーションの手法を継続的に学んでもらうことも必要です。当協会で提供しているパワハラ加害者/パワハラ行為者更生ヒアリング研修に参加することも可能です。

■再発防止の検討のポイント

  • 再発防止策は、予防策と表裏一体の取組です。予防策を着実に実施していくことが、再発防止にもつながるといえます。
  • ハラスメント問題が解決した後も同様の問題が発生することを防ぐため、重要なことは、取組を継続し、従業員の理解を深め再発防止につなげることです。定期的な見直しや改善を行い継続的に取り組むことも一つの方法です。
  • 解決に当たって、行為者を処分するだけでは、最悪の場合、同じことが再び繰り返されるという可能性が残ります。これを防ぐためには、次のような視点を持って解決を図っていくことが大切です。
    ✔ その後の職場が相談者にとって、安全で快適な環境となっているか
    ✔ 行為者が同様の問題を起こすおそれはないか
    ✔ 新たな行為者が発生する環境となっていないか

出典「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント」
厚生労働省

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