パワハラ加害者への再発防止|「二度としません」という反省だけで十分ですか?

パワハラ問題が起きた後、本人から「反省しています」「二度としません」という言葉が聞かれることがあります。

自分の行動を振り返り、再び同じ問題を起こさないと考えることは大切です。しかし、「二度としない」という意思だけでは、同じ状況が再び起きたときにどのように対応するのかまでは決まりません。

再発防止では、問題となった行動をやめることに加えて、その代わりとなる適切な行動を具体的に持つことが重要です。

「しない」だけでは次の行動が分かりません

例えば、部下が同じミスを繰り返した場面で強い叱責を行ったことが問題になったとします。

本人が「もう怒鳴らない」と決めることは一つの改善です。

しかし、再び同じミスが起きたとき、「怒鳴る代わりに何をするのか」が分からなければ、感情が高まった場面で以前の行動へ戻る可能性があります。

事実を確認する。本人の説明を聞く。改善が必要な点を具体的に伝える。感情が高まっている場合には時間を置く。自分だけで対応が難しい場合には上司や人事へ相談する。

このように、具体的な選択肢を増やしていくことが必要です。

再発防止とは、問題行動を禁止することだけではなく、同じ場面で選べる「別の行動」をつくることです。

なぜその行動が起きたのかを整理する

行動を変えるためには、どのような状況で問題となる言動が起こりやすいのかを振り返ることも大切です。

期限が迫っていると焦りが強くなる。部下が同じミスをすると感情的になる。自分の指示に反論されると否定されたように感じる。自分が高い水準で仕事をしてきたため、部下にも同じ水準を求める。

人によって、行動が強くなりやすい場面は異なります。

背景を確認することは、問題となった行動を正当化するためではありません。同じ状況を早い段階で本人が認識し、以前とは異なる行動を選べるようにするためです。

再発防止を具体的な段階で考える

STEP 1 問題となった行動を整理する

「パワハラをしない」という抽象的な目標ではなく、具体的にどの言葉や態度を変える必要があるのかを確認します。

STEP 2 行動が起こりやすい場面を把握する

どのような状況、相手、業務、感情のときに言動が強くなりやすいのかを振り返ります。

STEP 3 代わりとなる行動を決める

使う言葉、伝える方法、時間の置き方、相談先など、実際の職場で利用できる方法を考えます。

STEP 4 職場で実践する

研修で理解したことを、実際の業務の中で行動として実践します。

STEP 5 必要に応じて振り返る

うまくできたこと、難しかったことを確認し、新しい行動を継続できるようにします。

謝罪の言葉だけで再発防止を評価しない

「申し訳ありませんでした」「反省しています」という言葉は大切ですが、それだけでその後の行動まで判断することはできません。

本人がどの行動に問題があったと理解しているのか。同じ状況が起きた場合にどのように対応するのか。必要な指導を適切な方法で行えるのか。

こうした具体的な変化を見ることが重要です。

再発防止のフォローを「監視」にしない

問題発生後、企業が一定期間本人の状況を確認することがあります。

その際には、本人にとって「いつまでも監視されている」と感じる仕組みにならないよう配慮することも必要です。

何を改善目標とするのか、会社がどのような行動を期待しているのか、どのような方法で確認するのか、困った場合には誰へ相談できるのかをできる限り明確にします。

再発防止のフォローは、過去の問題を繰り返し責めるためではなく、新しい行動を継続するための支援として機能させることが大切です。

必要な指導まで失わせない

特に管理職の場合、問題発生後に「もう部下には何も言わない」と考えることがあります。

しかし、それでは職場のマネジメントに別の問題が生じます。

再発防止で目指すのは、部下との関わりをなくすことではありません。

事実に基づいて伝える、改善してほしい行動を具体的にする、人格を否定しない、相手の説明も確認するなど、必要な指導を適切な方法で行えるようになることです。

更生カウンセリング研修で「次の行動」を考える

一般社団法人パワーハラスメント防止協会のパワハラ加害者更生カウンセリング研修では、過去の行為を一方的に責め続けることではなく、本人が今後どのような行動を選択するのかを重視しています。

問題となった言動、本人の認識、行動が強くなりやすい状況などを個別に振り返り、再び同じ状況に直面した際の具体的な対応方法を考えます。

再発防止を本人任せにしない

本人に「今後気をつけてください」と伝えるだけでは、何に気をつければよいのかが曖昧なままになることがあります。

企業として必要な責任を求めると同時に、具体的な改善の方向を示し、必要に応じて教育や相談の機会を設けることができます。

問題を起こした人をただ職場へ戻すのでも、いつまでも過去の問題だけで評価するのでもなく、実際の行動変容を支えることが、再発防止の重要な考え方です。

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