2026/10/29
パワハラ問題への対応では、被害を訴えた方への配慮、事実関係の確認、必要な措置などが重要です。
そして再発防止という観点では、その後に行為者とされた方が自分の行動をどのように理解し、今後どのように変えていくのかまで考える必要があります。
「注意した」「処分した」「異動させた」という対応だけでは、本人が同じような状況に直面したときに別の行動を選択できるようになったとは限りません。
企業が行為者の「その後」まで考えることは、本人だけのためではありません。同じ問題を繰り返さず、周囲の職員が安心して働くことのできる職場をつくるための取り組みでもあります。
責任を求めることと行動変容を支えること
問題となる行為が確認された場合、企業として必要な責任を求めることがあります。
一方、責任を求めることと、本人が新しい行動を身につけることは目的が異なります。
本人が「会社から怒られた」「処分された」という経験だけを持って職場へ戻ったとしても、具体的に何を変えるのかが分からなければ再発防止にはつながりにくくなります。
行動変容は「人格を変えること」ではありません
更生や行動変容という言葉から、本人の性格そのものを変えることを想像する場合があります。
しかし、職場で必要なのは、本人という人間全体を否定したり、別人に変えたりすることではありません。
問題となった具体的な言動を整理し、その場面で別の適切な行動を選べるようにすることです。
例えば、仕事への責任感が強い管理職であれば、その責任感は組織にとって強みになることがあります。
一方、その責任感から部下へ過度な要求をしたり、感情的な言葉を使ったりするのであれば、その部分については行動を見直す必要があります。
本人が持つ強みを活かしながら、問題につながる行動を変えていくという考え方が重要です。
行動変容を考える4つの視点
どの具体的な行動が問題となったのかを整理します。
どのような状況や感情のときに問題行動が起こりやすいのかを振り返ります。
同じ場面で使える別の言葉や対応方法を考えます。
新しい行動を実際の職場で使い、継続できるようにします。
本人が会社の判断に納得していない場合
行為者とされた方が、「自分だけが悪いのか」「仕事上必要な指導だった」と感じている場合があります。
そのような状態で、最初から会社の評価を全面的に受け入れることだけを求めても、行動改善のための対話が進みにくくなることがあります。
本人の説明を確認しながら、人物評価ではなく具体的な行動へ焦点を当てます。
「この言葉は別の言い方ができた」「この場面では一度相手の話を聞くことができた」といった部分から、本人自身が変えられる行動を考えていきます。
被害を訴えた方への配慮と行為者への支援
被害を訴えた方の安全と尊厳を守ることは、企業のハラスメント対応における重要な前提です。
同時に、行為者とされた方へ改善の機会を設けることは、その前提と対立するものではありません。
行為者への更生支援は、問題となった行為を軽く扱うためのものではなく、同じ問題を繰り返さないために本人へ責任ある行動変容を求める取り組みです。
行為者とされた方についても、必要な説明を受ける機会、改善する機会、相談する機会を設けることによって、より公正で実効性のある再発防止につなげることができます。
行動変容を段階的に考える
問題となった出来事について、本人がどのように理解しているのかを確認します。
人物全体ではなく、改善が必要な言葉や態度へ焦点を当てます。
焦り、怒り、期待、仕事上のプレッシャーなど、どのような場面で言動が強くなりやすいのかを振り返ります。
同じ状況で利用できる伝え方、対応方法、相談方法などを考えます。
研修で考えた内容を実際の職場で実践し、必要に応じて振り返ります。
フォローを「監視」ではなく支援として機能させる
問題発生後、企業が本人の状況を継続的に確認する場合があります。
その際には、何を改善目標としているのか、会社がどのような行動を期待しているのか、どのような方法で確認するのかを本人ともできる限り共有することが大切です。
「一度問題を起こしたから、これからずっと疑われる」と感じる状態ではなく、「新しい行動を続けるために確認と支援がある」と理解できる仕組みにすることが望まれます。
企業だけでは対話が難しくなっている場合
問題発生後、会社と本人との関係が緊張し、人事担当者が何を説明しても本人が防御的に受け止めることがあります。
そのような場合には、外部の第三者による個別支援を利用し、本人が自分自身の行動を振り返る機会を設ける方法があります。
外部支援を活用することは、企業が対応を外部へ任せてしまうことではありません。
企業として必要な対応を行いながら、個別の行動改善について専門的な支援を組み合わせるという考え方です。
パワハラ加害者更生カウンセリング研修という選択肢
一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、パワハラ行為者とされた方を対象に、再発防止と行動改善を目的とした「パワハラ加害者更生カウンセリング研修」を実施しています。
単にハラスメントの知識を学ぶだけではなく、本人自身の具体的な行動を振り返り、本人の認識やコミュニケーションの特徴を整理しながら、今後の行動を考えていきます。
対象となる方の状況に合わせて個別に取り組むことで、一般的な研修だけでは扱いにくい本人固有の課題についても考えることができます。
問題を起こした「その後」まで支える企業へ
企業が目指すべき再発防止は、本人を過去の問題だけで固定することでも、問題がなかったことにすることでもありません。
問題となった行為には適切に向き合い、必要な責任を求める。そのうえで、本人が何を変え、これから職場でどのように行動していくのかを考える。
改善の機会を設けることによって、本人が再び適切に役割を果たせる可能性をつくると同時に、周囲の職員が安心して働くことのできる職場環境につなげていきます。
「処分して終わり」ではなく、「同じ問題を繰り返さないところまで考える」。
パワハラ加害者更生カウンセリング研修は、そのための企業の再発防止策の一つです。
パワハラ行為者の「その後」まで考える企業・団体へ
本人に自覚がない、処分後の教育方法が分からない、管理職としての再出発を支援したい、同じ問題を繰り返さないための個別教育を検討したいなど、導入前の段階からご相談いただけます。
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