パワハラ加害者への面談の進め方|人事担当者向け実務フローと再発防止

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【パワハラ加害者更生・再発防止シリーズ】
パワハラ加害者への面談の進め方|人事担当者向け実務フローと再発防止

パワハラ加害者への面談は何を確認し、どのように進めればよいのでしょうか。本記事では、人事担当者・管理職向けに面談前の準備、具体的な進め方、避けるべきNG対応、再発防止の実務までを専門的な視点で詳しく解説します。

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パワーハラスメントが発生した際、多くの企業では被害者対応を優先して進めます。一方で、組織として同じ問題を繰り返さないためには、加害者への対応も極めて重要です。

実際の現場では、「本人に注意した」「誓約書を書いてもらった」「管理職が面談した」という対応で終わってしまうケースも少なくありません。しかし、それだけで行動が改善されるとは限らず、数か月後に同様の事案が再発するケースも見受けられます。

加害者との面談は、責任を追及する時間ではなく、事実を確認し、本人の認識を整理し、今後の行動変容につなげるための重要な機会です。人事担当者や管理職には、公平性を保ちながら、会社としての姿勢を明確に示す対応が求められます。

この記事では、一般社団法人パワーハラスメント防止協会が、面談前の準備から具体的な進め方、避けるべき対応、再発防止までを実務の流れに沿って詳しく解説します。

パワハラ対応は初動の適切さが、その後の組織運営にも大きく影響します。対応方法に迷った場合は、専門機関へ早めに相談することで、事実確認から再発防止まで一貫した支援を受けられます。

 

 

パワハラ加害者への面談が重要な理由

パワーハラスメントへの対応では、被害者の安全確保や職場環境の改善が最優先となります。しかし、それだけでは再発防止には十分とはいえません。組織全体の安全配慮義務を果たすためには、加害者への適切な対応も欠かせない要素です。

加害者本人は、自身の言動を「指導」「教育」「仕事だから当然」と認識している場合があります。その認識を確認しないまま処分や注意だけを行うと、本人は問題を理解できず、不満や反発だけが残ることがあります。その結果、別の部署や別の相手に対して同様の言動を繰り返す危険性も否定できません。

面談には、事実確認だけでなく、本人の認識を整理し、会社として許容できない行為を明確に伝える役割があります。また、再発防止に向けた改善策を共有することで、組織として一貫した対応を示すことにもつながります。

人事担当者にとって重要なのは、「叱ること」ではなく、「事実を把握し、今後の行動改善につなげること」です。この視点を持つことで、感情論ではなく実務としての面談を実施しやすくなります。

以下は、面談で達成すべき主な目的を整理したものです。

目的 実務上の意味
事実確認 本人の認識と客観的事実の差を把握する
会社の姿勢を示す ハラスメントを容認しない方針を明確に伝える
再発防止 改善策と今後の行動を具体化する
記録の作成 後日の説明責任や継続支援に活用する

このように、面談は単なる聞き取りではなく、会社全体のリスクマネジメントの一環として位置付けることが重要です。

 

面談前に人事担当者が準備すべきこと

面談の成否は、当日の話し方だけで決まるものではありません。十分な準備ができていなければ、本人の説明に振り回されたり、感情的な議論へ発展したりする可能性があります。

人事担当者は、客観的な事実を整理したうえで面談に臨み、公平性を保ちながら会社として適切な対応を進める必要があります。

 

事実関係を整理する

面談前に最も重要となる準備が、事実関係の整理です。被害者からの申告内容だけで判断すると、公平性を欠く対応と受け取られるおそれがあります。人事担当者は、双方の話だけでなく、メール、チャット、勤怠記録、会議記録、周囲の証言など、客観的な情報をできる限り集めることが求められます。

特にパワーハラスメントでは、一つひとつの発言だけを見るのではなく、継続性や頻度、職場での力関係、業務上の必要性なども総合的に確認することが重要です。同じ言葉であっても、状況によって受け止め方や評価は異なります。そのため、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのような状況で」という時系列を整理した資料を準備しておくと、面談中の確認も円滑になります。

また、情報収集の段階では、推測や評価を書き加えないことも重要です。「威圧的だった」「明らかなパワハラだった」といった主観ではなく、「大声で叱責した」「会議中に人格を否定する発言があった」など、事実として確認できる内容を整理します。この積み重ねが、公平な面談につながります。

 

感情ではなく事実を確認する

面談では、人事担当者自身も冷静さを保たなければなりません。被害内容を聞いたあとでは、加害者に対して厳しい感情を抱くこともあります。しかし、その感情をそのまま面談へ持ち込むと、本人が防御的になり、本来確認すべき事実まで把握できなくなることがあります。

質問は、「なぜそんなことをしたのですか」という追及型ではなく、「この場面ではどのような認識でしたか」「その発言をした理由を教えてください」といった確認型を基本とします。本人の説明を最後まで聞いたうえで、客観的資料との違いを一つずつ確認する進め方が望まれます。

人事担当者が感情を抑えて事実確認を行う姿勢は、会社として公平な調査を実施していることを示す意味もあります。本人が納得しやすくなるだけでなく、その後の懲戒判断や改善指導についても説明しやすくなります。

 

会社の就業規則・懲戒規程を確認する

面談前には、就業規則やハラスメント防止規程、懲戒規程の内容を必ず確認しておきます。担当者が制度を十分に理解しないまま面談を進めると、説明に一貫性がなくなり、「担当者によって言うことが違う」という不信感を招く可能性があります。

確認しておきたい項目は、ハラスメントの定義、調査手順、本人への説明方法、懲戒処分の基準、再発防止措置などです。特に懲戒に関する内容は、「今回の面談で処分を決定する」のではなく、「会社として事実確認を行ったうえで規程に沿って判断する」という位置付けを整理しておくことが重要になります。

また、管理職が同席する場合には、面談前に役割分担を決めておくことも欠かせません。質問する担当、記録を取る担当、面談全体を進行する担当を明確にしておけば、話が脱線しにくくなります。複数人が同時に質問を重ねる状況は本人の警戒心を高めるため避けるべきです。

企業では、一つの面談だけで対応を完結させるのではなく、調査・判断・改善支援まで一連の流れとして設計することが重要です。そのためにも、面談前の準備段階で社内ルールとの整合性を確認しておくことが、人事担当者の重要な役割となります。

 

パワハラ加害者との面談の進め方【実務フロー】

面談では、単に事情を聞くだけでは十分とはいえません。本人が事実をどのように認識しているのかを確認し、会社としての考え方を伝え、再発防止へ向けた行動につなげることが目的です。

実務では、面談の流れをあらかじめ決めておくことで、感情的なやり取りを避けやすくなります。ここでは、多くの企業で活用しやすい基本的なフローを紹介します。

面談後の対応まで含めた支援体制を整えておくことで、再発防止につながる可能性が高まります。社内だけで判断が難しい場合は、外部の専門機関へ相談することも有効な選択肢です。

 

① 面談の目的を伝える

面談の冒頭では、本人に対して目的を明確に伝えることが重要です。何の説明もなく事情聴取を始めると、「処分が決まっている」「責められている」という印象を与え、防御的な態度につながることがあります。

冒頭では、「本日は事実確認を行い、会社として状況を把握するための面談です」「現時点で結論が決まっているわけではありません」「双方から話を伺い、公平に判断を進めます」といった趣旨を丁寧に説明します。この一言があるだけでも、本人は落ち着いて話しやすくなります。

面談の時間、参加者、記録を残すことについても最初に伝えておくと、その後の進行がスムーズになります。記録を作成する理由は、本人を監視するためではなく、事実関係を正確に整理し、誤解を防ぐためであることも説明すると理解を得やすくなります。

人事担当者は、会社として中立的な立場で話を聞く姿勢を示すことが求められます。厳しい口調や高圧的な態度ではなく、冷静で落ち着いた雰囲気を維持することが、その後の面談全体にも良い影響を与えます。

 

② 本人から事実確認を行う

目的を共有した後は、本人の認識を確認します。この段階では、調査で把握した内容を一方的に示すのではなく、本人自身の説明を十分に聞くことが重要です。

質問は、「その場面でどのようなやり取りがありましたか」「その発言にはどのような意図がありましたか」といった形で、できるだけ自由に話してもらう方法が適しています。途中で話を遮ったり、反論したりすると、本来確認できたはずの情報が得られなくなる場合があります。

一通り説明を受けた後で、客観的資料との違いを確認していきます。「この日時には別の証言がありますが、この点についてどう考えますか」と事実ベースで確認することが重要です。「あなたは嘘をついていますね」といった決めつけは避けなければなりません。

実際には、「指導のつもりだった」「相手も納得していたと思った」「自分も同じように育てられた」と説明するケースは少なくありません。そのような認識があること自体を把握することも、後の再発防止策を検討するうえで重要な情報になります。

 

③ 被害者への影響を理解してもらう

事実確認が終わったら、会社として把握している影響について説明します。ただし、この段階でも被害者の個人情報や詳細な証言をそのまま伝えることは適切ではありません。

重要なのは、「本人はそのような意図ではなかった」としても、結果として相手にどのような影響が生じたのかを理解してもらうことです。業務への支障、精神的負担、職場全体への影響などを客観的に伝えることで、自身の行動を振り返るきっかけになります。

人事担当者は、「あなたが悪い人だから問題なのではありません。このような行動が会社では許容されず、相手や組織へ影響を与えることが問題です」という観点で説明すると、人格否定ではなく行動改善に焦点を当てた話し合いになります。

加害者本人が反論したり納得できない様子を見せたりすることもありますが、その場で無理に認めさせる必要はありません。会社としての判断基準を丁寧に伝え、本人が冷静に考える時間を持てるよう配慮することも実務では重要です。

 

④ 再発防止策を一緒に考える

面談で事実確認と会社の考え方を伝えた後は、再発防止策について具体的に話し合います。この場面で注意したいのは、人事担当者が改善策を一方的に指示するだけでは十分な効果が期待できないという点です。本人自身が課題を認識し、自ら改善方法を考える過程がなければ、行動は元に戻りやすくなります。

「同じような状況になったとき、どのような対応ができそうですか」「感情が高ぶった場面では、どのように気持ちを整理できそうですか」といった質問を通じて、本人の考えを引き出します。自分の言葉で改善策を整理することで、実際の職場でも行動に移しやすくなります。

改善策は抽象的な内容ではなく、行動レベルまで具体化することが重要です。「気を付けます」「反省しています」だけでは、後日どの程度改善できたのか判断できません。例えば、「部下への注意は会議室など周囲に配慮した場所で行う」「感情的になった場合は一度席を外す」「指導内容は事実と業務に限定する」など、実践できる内容へ落とし込みます。

改善内容によっては、上司による定期的なフォローや研修への参加を組み合わせることも有効です。面談だけで終わらせず、その後の行動を確認する仕組みを整えることが、再発防止につながります。

 

⑤ 面談内容を記録する

面談終了後には、必ず記録を作成します。記録は単なる議事録ではなく、会社が適切な調査と改善支援を実施したことを示す重要な資料になります。万が一、後日同様の問題が発生した場合や、本人から説明内容について異議が示された場合にも、客観的な記録が大きな役割を果たします。

記録には、面談日時、参加者、本人の説明内容、人事担当者が伝えた事項、確認した事実、今後の改善策、次回面談の予定などを整理して残します。主観的な評価や感情的な表現ではなく、事実を中心に記載することがポイントです。

また、面談記録は一度作成して終わりではありません。改善状況を確認するためのフォロー面談や上司からの報告なども時系列で記録しておくことで、継続的な支援の経過を把握しやすくなります。再発防止は一回の面談では完結しないため、継続的な記録管理が重要になります。

人事担当者が面談内容を適切に記録しておくことは、企業としての説明責任を果たすだけでなく、改善支援の質を高めることにもつながります。

 

面談で絶対に避けるべきNG対応

加害者面談では、「厳しく指導しなければならない」という意識が強くなり過ぎると、本来の目的である事実確認や再発防止から離れてしまいます。面談の進め方を誤ると、本人が反発するだけでなく、会社としての対応そのものが適切だったのかを問われる可能性もあります。

ここでは、実務で特に注意したい代表的なNG対応を紹介します。

 

感情的に叱責する

被害内容が深刻であるほど、人事担当者や管理職も強い感情を抱くことがあります。しかし、その感情を面談でぶつけることは適切ではありません。怒鳴る、威圧的な口調で責める、人格を否定するような発言をするなどの対応は、本人を萎縮させるだけで、建設的な話し合いにはつながりません。

企業として必要なのは、「何が問題だったのか」を冷静に伝えることです。行動と人格は区別し、「あなたは問題のある人だ」ではなく、「この行動は会社として認められない」という説明を徹底する必要があります。

感情的な面談は、本人の反省を促すどころか、防御的な姿勢や会社への不信感を生みやすくなります。人事担当者自身も冷静な姿勢を維持することが、公平な対応につながります。

 

決めつけで話を進める

調査を進める中で、人事担当者の中では一定の結論が見えていることもあります。しかし、その状態で「あなたがパワハラをしたことは間違いありません」と断定的に面談を始めることは避けなければなりません。

本人にも説明する機会を保障することは、公平な調査手続きとして重要です。仮に結果として会社の判断が変わらなかったとしても、本人が十分に説明できたという事実は、その後の納得感にも影響します。

また、調査途中では新たな情報が判明する可能性もあります。決めつけによる面談は、その情報を引き出す機会を失わせることにもなります。人事担当者は、最後まで事実を確認する姿勢を崩さないことが大切です。

 

被害者情報を必要以上に開示する

加害者へ説明する際には、被害者のプライバシーにも十分配慮しなければなりません。被害者がどのような証言をしたのか、誰が相談したのか、どのような精神状態であったのかを詳細に伝えることは、二次被害につながる可能性があります。

説明が必要なのは、「会社として確認した事実」と「会社の判断基準」です。証言内容をそのまま伝えるのではなく、「会社として複数の情報を総合的に確認した結果、このように判断しています」という説明にとどめることが望まれます。

匿名性が確保されない環境では、被害者が安心して相談できなくなる恐れもあります。相談体制を維持するためにも、情報管理は慎重に行う必要があります。

 

謝罪だけで終わらせる

加害者が面談の場で謝罪の意思を示したとしても、それだけで対応を終えることは適切ではありません。謝罪は問題解決の一要素ではありますが、再発防止を保証するものではないためです。

実際の現場では、「本人は深く反省している」「被害者も謝罪を受け入れた」という理由から、その後のフォローを行わずに終了してしまうケースがあります。しかし、数か月後に同じような言動が繰り返される事例は少なくありません。背景には、本人の価値観やコミュニケーションの癖、感情のコントロール方法が変わっていないという問題があります。

人事担当者は、謝罪の有無だけではなく、「どのような点を問題として理解しているのか」「今後どのように行動を変えるのか」を具体的に確認することが重要です。その内容を面談記録へ残し、一定期間後に改善状況を確認する仕組みまで整えて初めて、再発防止へ向けた対応として機能します。

謝罪はゴールではなく改善の出発点です。企業としては、その後の行動変化まで見届ける視点を持つことが欠かせません。

 

面談だけでは再発防止にならない理由

人事担当者から寄せられる相談の中でも多いのが、「何度も面談しているのに改善しない」「注意や誓約書を書かせたが再発した」という悩みです。この背景には、面談そのものをゴールにしてしまっているケースが少なくありません。

面談は、あくまでも問題を整理し、改善へ向けた第一歩です。本人が面談中に反省した様子を見せても、職場へ戻れば従来と同じ環境で仕事を続けることになります。仕事が忙しくなる、部下との関係が悪化する、強いストレスを感じるといった状況では、これまでと同じ言動が無意識に現れることもあります。

企業では、「面談したから終わり」「誓約書を書いたから安心」という考え方ではなく、「その後に行動が変わったか」を継続して確認する視点が求められます。再発防止とは、一度の指導で終わるものではなく、一定期間をかけて行動の定着を支援するプロセスだからです。

実務上は、面談後に改善計画を作成し、上司との定期面談や人事によるフォローを組み合わせる企業も増えています。また、必要に応じてパワハラ加害者への個別支援や更生プログラムを活用することで、行動変容につながるケースもあります。

面談は非常に重要な取り組みですが、それだけで再発防止が実現するわけではありません。企業が本当に目指すべきなのは、「同じ問題が起こらない状態」をつくることです。

以下は、面談だけで終えた場合と継続支援を行った場合の違いを整理したものです。

対応方法 期待できる効果 課題
注意・面談のみ 一時的な意識改善 時間の経過とともに元へ戻る可能性がある
誓約書のみ 会社の方針を示せる 行動変容までは確認できない
面談+継続フォロー 改善状況を確認できる 一定期間の支援が必要になる
専門家による個別支援 行動変容まで支援しやすい 社外との連携体制が必要になる

人事担当者が注目すべきなのは、「反省しているか」ではなく、「職場で行動が変わったか」です。この視点を持つことで、再発防止の精度は大きく変わります。

 

実際に、面談や注意を実施したにもかかわらず再発するケースは少なくありません。面談と同様に、懲戒処分だけでは再発防止につながらない理由については、 懲戒処分だけでは防げないパワハラ再発の現実と企業が取るべき対策 で詳しく解説しています。

 

再発防止には「行動変容」が必要

パワーハラスメントは、制度やルールを知らないことだけが原因で起こるわけではありません。社内規程を理解していても、同じ言動を繰り返すケースは少なくありません。その理由は、問題の背景が知識不足だけではなく、本人の思考や行動の習慣にある場合があるためです。

例えば、「厳しく指導しなければ部下は成長しない」「仕事ができない人には強く言うしかない」といった固定的な考え方を持っている場合、面談で注意を受けても、その価値観自体は変わりません。職場へ戻れば、同じ場面で同じ判断をしてしまう可能性があります。

また、感情のコントロールが苦手な人では、業務上のストレスや焦りをきっかけに強い口調や威圧的な態度が表れることがあります。このようなケースでは、「怒らないようにしてください」という指導だけでは改善が難しく、感情への気付きや対処方法を身に付ける支援が必要になります。

企業では、再発防止を「知識の習得」と「行動変容」の二つに分けて考えることが重要です。知識は研修などで身に付けられますが、日々の職場で行動を変えるためには、本人が自身の思考やコミュニケーションの特徴を理解し、改善を継続することが欠かせません。

一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、再発防止とは単に謝罪や反省を求めることではなく、「同じ状況でも異なる行動を選択できる状態」を目指すことが重要であると考えています。企業が取り組むべきなのは、一時的な反省ではなく、継続的な行動変容を支援する仕組みづくりです。

 

加害者対応では、知識を身に付けるだけではなく、本人の思考や行動パターンを見直すことが重要になります。企業全体で再発防止を進める考え方については、 パワハラ加害者への対応方法と再発防止を実現する実践ガイド でも詳しく解説しています。

 

専門家によるパワハラ加害者更生カウンセリングという選択肢

人事担当者や管理職だけで加害者対応を継続することには限界があります。通常業務と並行して面談を重ね、改善状況を確認し続けることは大きな負担となるだけでなく、担当者によって対応にばらつきが生じる可能性もあります。

特に、複数回の面談を実施しても行動が変わらない場合や、「自分は悪くない」という認識が強い場合には、社内だけで改善を図ることが難しくなるケースがあります。そのような状況では、第三者の専門機関による客観的な支援を取り入れることも有効な方法です。

パワハラ加害者更生を目的とした個別カウンセリングでは、単にハラスメントの知識を伝えるだけではなく、本人がどのような場面で感情的になりやすいのか、部下とのコミュニケーションでどのような思考の癖があるのか、自身では気付きにくい行動パターンまで整理しながら改善を進めます。

また、管理職経験が長い人ほど、「これまで問題にならなかった」「自分の指導方法は正しい」と考えている場合があります。そのようなケースでは、一方的な指導ではなく、専門家との対話を通じて自ら課題を整理する支援が行動変容につながることがあります。

外部機関を活用することは、人事担当者の責任を外部へ任せることではありません。社内面談と専門家による支援を組み合わせることで、企業全体として再発防止へ向けた体制を強化できる点に大きな意義があります。

特に、次のような状況では専門機関への相談を検討する価値があります。

状況 専門的支援を検討する理由
面談を繰り返しても改善が見られない 行動の背景にある思考や価値観を整理する必要があるため
本人が問題を認めない 第三者による客観的な対話が有効となる場合があるため
管理職として再配置を予定している 再発リスクを低減し、適切なマネジメントを身に付けるため
人事部門だけで継続支援が難しい 専門家と役割分担しながら支援体制を構築できるため

再発防止は、一度の注意や面談だけで完結するものではありません。本人の行動変容を継続的に支援する仕組みを整えることが、組織全体の安全な職場環境づくりにつながります。

社内対応だけで改善が難しいと感じた場合は、早い段階で専門家へ相談することも選択肢の一つです。状況に応じた支援方法を検討することで、人事担当者の負担軽減と再発防止の両立につながります。

 

更生支援の内容や企業が導入するメリットについては、 パワハラ加害者更生とは?企業の再発防止完全ガイド でも詳しく紹介しています。

 

よくある質問(FAQ)

 

パワハラ加害者は面談を拒否できますか?

会社には職場環境を適切に維持する責任があります。そのため、業務上必要な事実確認として面談を実施することは一般的な対応です。本人が協力的でない場合でも、面談の目的や必要性を丁寧に説明し、冷静に対応を進めることが重要です。拒否が続く場合は、就業規則や社内規程に基づき対応方法を検討することになります。

 

何回くらい面談を行えばよいですか?

一律の回数はありません。事実確認のための初回面談だけでなく、改善状況を確認するフォロー面談を実施する企業も多く見られます。重要なのは回数ではなく、本人の行動が実際に改善しているかを継続的に確認することです。改善が見られない場合には、支援方法を見直すことも必要になります。

 

誓約書だけで十分ですか?

誓約書は会社の方針を本人へ明確に伝える手段として有効ですが、それだけで再発防止が保証されるわけではありません。誓約書の提出後も、面談や職場でのフォロー、必要に応じた更生支援を組み合わせることで、行動変容につながりやすくなります。

 

外部機関へ依頼するタイミングは?

面談を重ねても改善が見られない場合や、人事担当者だけで継続支援を行うことが難しい場合には、早い段階で専門機関への相談を検討するとよいでしょう。問題が長期化してからではなく、再発リスクを感じた時点で支援体制を整えることが、組織全体の負担軽減にもつながります。

 

加害者が反省していない場合は?

面談の場で反省の言葉がないからといって、すぐに改善が見込めないとは限りません。一方で、問題を認識できていない状態では行動変容も起こりにくいため、本人の考え方や価値観を整理する支援が重要になります。社内面談だけで難しい場合には、第三者による個別支援を取り入れることで認識が変化するケースもあります。

 

パワハラ加害者更生・再発防止シリーズ

本記事は「パワハラ加害者更生・再発防止シリーズ」の一部です。面談だけでなく、加害者対応の進め方や再発防止、行動変容、更生支援について体系的に理解したい方は、シリーズ一覧もあわせてご覧ください。

パワハラ加害者更生・再発防止シリーズ一覧はこちら

 

まとめ

パワハラ加害者への面談は、事実確認を行うだけではなく、再発防止へ向けた第一歩として極めて重要な役割を担います。人事担当者には、公平な立場で事実を整理し、会社としての考え方を伝えながら、本人の行動改善につながる対話を進める姿勢が求められます。

一方で、面談や注意、誓約書だけでは再発防止が実現しないケースも少なくありません。本質的な改善には、本人が自身の思考や感情、コミュニケーションの特徴を理解し、職場での行動を変えていく「行動変容」が欠かせません。

企業として重要なのは、「面談を実施した」という事実ではなく、「再発を防げたか」という結果です。そのためには、面談後のフォロー、継続的な確認、必要に応じた専門家との連携まで含めた支援体制を整えることが重要になります。

人事担当者だけで対応を抱え込まず、状況に応じて専門機関の知見を活用することも有効な選択肢です。組織全体で再発防止へ取り組むことが、安心して働ける職場環境の実現につながります。

 

監修

一般社団法人パワーハラスメント防止協会

パワハラ防止研修、パワハラ行為者研修、 パワハラ加害者更生支援を専門とする団体。 企業向け研修・相談対応・再発防止支援を実施。

 

情報源

  • 厚生労働省 職場におけるハラスメント対策 https://www.mhlw.go.jp/
  • 厚生労働省 あかるい職場応援団 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
  • 一般社団法人パワーハラスメント防止協会 https://www.phpaj.com/
  • 労働政策研究・研修機構 https://www.jil.go.jp/

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