パワハラ防止研修の失敗例と成功する研修設計

パワハラ防止研修の失敗例と成功する研修設計

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【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
パワハラ防止研修の失敗例と成功する研修設計

パワハラ防止研修が「やっただけ」で終わる理由とは。よくある失敗例から、現場で行動が変わる研修設計・評価・フォローの考え方までを専門的に解説します。

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パワハラ防止研修の失敗例と成功する研修設計

 

パワハラ防止研修が注目される背景

職場トラブルの顕在化と社会的要請

職場におけるパワーハラスメント(以下、パワハラ)は、個人の尊厳を損なう行為であると同時に、組織の生産性や信頼性を大きく低下させる要因です。 相談件数の増加やメディア報道を背景に、企業には「未然防止」と「再発防止」の両立が強く求められています。

研修が担う役割の変化

従来の研修は「知識を伝える場」に留まりがちでした。 しかし現在は、行動変容(知識を実際の行動に結びつけること)までを見据えた設計が不可欠とされています。

 

よくあるパワハラ防止研修の失敗例

法令説明だけで終わる研修

法律やガイドラインの説明に終始し、受講者が「知っている内容の再確認」で終わってしまうケースです。 理解は深まっても、日常の言動が変わらないという問題が残ります。

加害・被害の二元論に偏る

「加害者=悪」「被害者=守られる存在」という単純な構図で語る研修は、管理職や現場リーダーに強い防衛反応を生みます。 結果として、当事者意識が育たず、研修内容が自分事として捉えられません。

現場の実情とかけ離れた事例

自社の業務実態とかけ離れた事例を用いると、「うちの会社には当てはまらない」という反応を招き、学習効果が低下します。

 

なぜ研修は失敗するのか:構造的要因

目的が曖昧なまま実施される

「とりあえず実施する」「外部から求められたから行う」といった動機では、研修のゴールが不明確になります。 目的が曖昧な研修は、成果も測定できません。

心理的安全性(安心して発言できる状態)の欠如

受講者が「評価される」「責められる」と感じる場では、本音の振り返りは起こりません。 心理的安全性が確保されない研修は、形式的な参加に終わります。

研修と組織施策の分断

研修内容が人事制度や日常のマネジメントと連動していない場合、学びは職場で活用されません。

 

成功するパワハラ防止研修の設計原則

「禁止事項」ではなく「判断基準」を示す

何をしてはいけないかだけでなく、「迷ったときにどう判断するか」という基準を示すことで、現場での応用力が高まります。

感情と行動の関係を理解させる

パワハラは意図的な悪意だけでなく、焦りや不安などの感情反応から生じることがあります。 感情→認知→行動の流れを整理することで、再発防止に繋がります。

双方向型の学習設計

一方向の講義ではなく、ケース検討や対話を取り入れることで、理解と納得が深まります。

 

対象者別に考える研修設計のポイント

一般社員向け研修

「相談してよい状態とは何か」「違和感をどう扱うか」を中心に、早期対応の視点を育てます。

管理職向け研修

指導とハラスメントの境界、業務上のプレッシャー下での自己調整方法を具体的に扱うことが重要です。

経営層向け研修

組織文化やメッセージの出し方が現場に与える影響を理解し、制度設計と研修を結びつけます。

 

研修効果を高める評価とフォローアップ

理解度と行動変容を分けて測る

アンケートによる満足度だけでなく、行動指標(例:相談件数の変化、面談内容)を用いた評価が有効です。

継続的なフォローの重要性

単発研修では効果は限定的です。 定期的な振り返りや個別相談を組み合わせることで、定着が進みます。

 

現場で実装する際の注意点

研修を「罰」と誤解させない

問題対応の文脈で研修を実施する場合でも、「学び直し」「支援」の位置づけを明確にする必要があります。

外部講師任せにしない

外部専門家の知見を活用しつつ、社内担当者が内容を理解し、継続施策に落とし込むことが重要です。

 

FAQ:よくある質問

Q1. パワハラ防止研修はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A. 組織規模や課題によりますが、基礎研修とフォロー研修を組み合わせ、継続的に実施することが望ましいとされています。

Q2. オンライン研修でも効果はありますか?

A. 設計次第で効果は期待できます。特に双方向性と事例の自社適合が重要です。

Q3. 研修後にトラブルが起きた場合は失敗ですか?

A. 研修後に相談が増えること自体は、意識が高まった結果と捉えることができます。

 

まとめ:主要な学びと次のアクション

  • 研修は「知識提供」ではなく「行動変容」を目的に設計する
  • 失敗例の多くは目的不明確・心理的安全性不足に起因する
  • 対象者別に内容を最適化することで効果が高まる
  • 研修後のフォローと評価が定着を左右する

次のアクションとして、まずは自社の研修目的と現場課題を整理し、研修設計がそれに合致しているかを点検することをおすすめします。

参考・情報源

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメント対策」 https://www.mhlw.go.jp/
  • 日本労働組合総連合会「職場のハラスメントに関する調査」 https://www.jtuc-rengo.or.jp/
  • 経済産業省「人的資本経営に関する資料」 https://www.meti.go.jp/

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