Column – 79
【パワハラ加害者・パワハラ行為者への対応方法の豆知識】
パワハラ認定されない加害者のグレーゾーンの振る舞いへの対応策

パワーハラスメント(パワハラ)は、現代の職場において大きな社会問題となっています。しかし、全てのパワハラ行為が法的に「パワハラ」と認定されるわけではなく、被害者の多くが「パワハラ認定されない」加害者への対応に苦慮しています。法的な認定が得られないからといって、職場での不適切な言動や圧力に対して泣き寝入りする必要はありません。
本記事では、パワハラと認定されないグレーゾーンの振る舞いにどう向き合い、どのように自分と職場を守るべきか、その具体的な対応策を中心に解説します。
パワハラ認定されないケースとは

パワハラの定義は厚生労働省によって「優越的な関係を背景とした業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、就業環境が害されること」とされています。しかし、言動が「業務上必要かつ相当な範囲」と判断された場合や、証拠が不十分な場合は、法的なパワハラ認定には至りません。そのため、「指導」と「ハラスメント」の境界線が曖昧になり、被害者が対策を講じにくい現状があります。
グレーゾーンの行為例
- 明確な暴言や暴力はないが、繰り返し威圧的な態度をとる
- 業務上必要と言いつつ、特定の従業員のみを過度に注意する
- 一対一でなく、他者の前で繰り返し小さなミスを指摘する
- 表面上は「指導」や「注意」として行われるが、受け手の心身に負担を与えている
パワハラ認定されない加害者への対応策

1. 記録を残す
グレーゾーンの行為も記録しておくことが非常に重要です。日付、時間、場所、相手の言動、状況、自分の感じたことを詳細にメモしましょう。メールやチャット、業務日報など、文書として残るものも保存しておきます。これにより、後に状況が悪化した場合や第三者に相談するとき、重要な証拠となります。
2. 周囲に相談・共有する
一人で抱え込まず、信頼できる同僚、上司、あるいは人事部・労働組合といった第三者に状況を共有しましょう。自分の感じ方が「被害妄想」ではないかと悩むこともありますが、他者の意見を聞くことで客観的な判断材料が得られます。また、組織内で同じような被害が複数発生している可能性もあるため、声を上げることで社内体制の見直しにつながることもあります。
3. 冷静な対応を心がける
感情的にならず、冷静かつ客観的な態度で対応しましょう。パワハラ加害者は、被害者の感情的な反応を逆手に取って「被害者側に問題がある」と主張することがあります。相手の言動を冷静に受け止め、不当だと思う部分は毅然とした態度で「そのような言い方は控えてください」「具体的な指示をお願いします」と伝えることが大切です。
4. 専門家に相談する
社内での相談が難しい場合や不安が強い場合は、外部の専門家(労働局の総合労働相談コーナー、労働弁護士、産業カウンセラーなど)に相談しましょう。匿名での相談も可能な場合が多く、自分の立場や状況に応じたアドバイスを受けることができます。
5. 組織の制度を活用する
多くの企業では、ハラスメント防止のための相談窓口や申告制度、メンタルヘルス相談などのサポート体制が整っています。これらの制度を積極的に活用し、自分の状況に合ったサポートを受けるようにしましょう。また、人事評価や異動希望などを活用して、環境改善を目指すことも可能です。
6. メンタルヘルスを守る
パワハラ被害の有無に関わらず、心身の健康を第一に考えましょう。ストレスが強くなった場合は、無理をせず休息をとること、自分の趣味やリフレッシュできる時間を大切にすること、必要であれば医療機関を受診することが重要です。
7. 状況に応じて転職も選択肢に
どうしても状況が改善しない場合や、心身に深刻なダメージが及ぶ場合は、思い切って転職を考えることも一つの選択肢です。無理に我慢することで、長期的に大きな問題(うつ病や職場不適応など)に発展するリスクもあるため、早めに自分自身を守る決断をしましょう。
まとめ

パワハラ認定されないような微妙なケースでも、被害者が何もできないわけではありません。自分を守るための記録や相談、周囲との連携を大切にし、必要であれば外部の専門家や制度を活用しましょう。
職場環境の改善は一人では難しくても、声を上げることで状況を変えるきっかけになることもあります。自分の心と身体を何よりも大切にし、行動することが、自分を守り、より良い職場づくりにつながります。