パワハラ加害者へのヒアリングを行う際の注意点と対策

Column – 80
【パワハラ加害者・パワハラ行為者への対応方法の豆知識】
パワハラ加害者へのヒアリングを行う際の注意点と対策

Column – 80

パワーハラスメント(パワハラ)は、職場における深刻な社会問題のひとつです。被害者の心身への影響は計り知れず、企業としても迅速かつ適切に対応する責任があります。しかし、パワハラの加害者とされる従業員へのヒアリングは、慎重かつ公正な手続きが求められるデリケートなプロセスです。

本記事では、パワハラ加害者へのヒアリングを行う際の注意点と対策について、実践的な視点から詳しく解説します。

 

ヒアリング準備段階での注意点

  • 事前調査を徹底する

  • ヒアリング前には、被害者や第三者からの聞き取り、現場の状況確認、関連する証拠(メール、チャット、録音、映像など)の収集を行いましょう。これにより、事実関係を把握し、加害者とされる人物への質問内容やヒアリングの進め方を具体的に計画できます。

  • ヒアリングの目的を明確にする

  • ヒアリングの目的は、「事実確認」にあります。決して糾弾や断罪の場ではありません。「なぜ聞くのか」「どのような事実を確認したいのか」を自分自身でも整理し、説明できるようにしましょう。

  • プライバシーへの配慮

  • ヒアリングは、プライバシーが確保できる個室などで実施し、参加者も必要最小限とします。対象者や関係者の個人情報が漏洩しないよう徹底した管理も重要です。

  • 公平・中立性の担保

  • ヒアリング担当者は、当事者同士の利害関係がない第三者や、人事・コンプライアンス部門などが務めるのが理想です。偏った見方や先入観を持たず、中立的な姿勢で臨むことが求められます。

 

ヒアリング当日の進め方と注意点

  • 冒頭での説明と安心感の提供

  • ヒアリングの冒頭では、手続きの流れや、プライバシー保護、発言の自由、公平な機会提供などについて丁寧に説明しましょう。「事実確認のためのヒアリングである」「この場で決定が下されるわけではない」といった点を明確に伝え、過度な緊張や委縮を和らげます。

  • 主観ではなく「事実」に基づいた質問

  • 感情や憶測に基づいた質問を避け、具体的な日付、場所、発言内容、行動など、事実関係の確認に徹します。例えば「○月○日に○○さんに対してどのような発言をしましたか?」など、客観的かつ具体的な質問を心がけましょう。

  • 発言の自由と反論の機会を保障する

  • 加害者とされる従業員にも、自己の意見や主張を十分に述べる機会を保障します。一方的な質問攻めや決めつけを避け、「あなたのご意見をお聞かせください」と促すことで、公平性が保たれます。

  • 記録の正確な作成

  • ヒアリング内容は、日時・場所・参加者・やり取りの詳細などを正確に記録し、後で客観的に検証できるようにします。記録は必ず複数名で確認し、事実のねじ曲げや誤解が生じないようにします。

  • 高圧的・威圧的な態度の禁止

  • 担当者は決して高圧的な態度や威圧的な発言をせず、落ち着いたトーンで粘り強く対話を進めましょう。感情的な衝突を避け、冷静かつ誠実な対応が信頼につながります。

 

ヒアリング後のフォローと対策

  • 内容の精査と事実認定

  • 複数の証言や証拠を総合的に比較し、どこまでが事実として認められるかを慎重に判断します。一方の主張だけでなく、全体像を俯瞰して検討することが大切です。

  • 必要に応じて追加ヒアリングや証拠収集

  • 矛盾や新たな事実が判明した場合は、再度ヒアリングを実施したり、追加で証拠を集めるなどして、事実関係の明確化に努めます。

  • 関係者全員へのフィードバック

  • ヒアリングの結果や今後の対応方針について、関係者に適切な方法でフィードバックします。内容によっては、法令や企業の規定に則って開示範囲や内容を慎重に検討しましょう。

  • 再発防止策の策定と実施

  • 個別案件の対応にとどまらず、再発防止に向けた仕組み作り(研修、相談窓口の設置、社内規定の見直しなど)も重要です。パワハラが発生しにくい職場風土の醸成を目指します。

 

ヒアリング時に気をつけたいNG行為

  • 加害者とされる従業員を一方的に決めつけたり、人格を否定する発言をしない

  • 被害者や関係者に関する情報を不用意に漏らさない

  • ヒアリング内容を外部や無関係な部署へ無断で共有しない

  • 証拠を軽視したり、主観的な解釈だけで結論を出さない

 

まとめ

パワハラ加害者へのヒアリングは、被害者だけでなく加害者とされる従業員の人権やプライバシーも尊重しつつ、客観的・公正な事実認定と職場環境の改善を目指す重要なプロセスです。準備から実施、フォローまで丁寧かつ慎重に対応することで、組織としての信頼性や健全な職場づくりに大きく寄与します。


ヒアリングを単なる形式的なものとせず、再発防止のための第一歩と捉え、日頃からパワハラ防止への意識を高めていきましょう。

 

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