パワハラ行為者の思考パターンと行動改善の実務対応

Column –
【パワハラ加害者・パワハラ行為者への対応方法の豆知識】
パワハラ行為者の思考パターンと行動改善の実務対応

パワハラ行為者の思考パターンを心理学・脳科学の視点から解説し、実務で使える行動改善プロセスと再発防止策を具体例付きで紹介。優秀な人材を活かしながら組織の心理的安全性を高める実践ガイド。

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1. パワハラ行為者の思考パターンとは何か

①「自分は正しい」という認知の固定化

パワハラ(職場における優越的関係を背景とした言動により、業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの)行為者の多くは、「自分は組織のために合理的な判断をしている」と信じています。
これは認知の固定化(cognitive rigidity)と呼ばれ、自分の判断枠組みを疑いにくくなる状態です。
厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策指針」でも、意図の有無ではなく“受け手への影響”が重視されることが示されています。

② 感情処理の未熟さ(感情と言語の乖離)

怒鳴る、強い口調になる、遮るといった行動の背景には、感情の未処理があります。
心理学では「情動調整(emotion regulation)」の問題と整理され、感情を言語化せず即時反応してしまう傾向が指摘されています。

③ 成果優先型の思考バイアス

特に高業績者に多いのが、「成果が出ていれば過程は問題ない」というバイアスです。
しかし、組織心理学では心理的安全性(発言しても否定されない環境)が生産性向上に寄与することが示されています。

 

2. なぜ優秀な人ほど無自覚に加害構造を作るのか

① 自己完結型リーダーの落とし穴

自ら困難を乗り越えてきたリーダーほど、「説明しなくても理解できるはず」という前提を持ちやすい傾向があります。
これは透明性の錯覚(illusion of transparency)と呼ばれる心理現象です。

② 権限と責任の集中

権限が集中すると、フィードバックが減少します。結果として、行為者は自らの影響を把握できなくなります。
内閣府の調査でも、管理職層におけるハラスメント認識のギャップが示唆されています。

③ 組織文化の強化ループ

「昔はもっと厳しかった」という語りは、加害行動を正当化する文化的再生産を生みます。
これは社会的学習理論(Bandura)で説明される現象です。

 

3. 組織が見落としやすい構造的要因

① 業務過多と時間的圧迫

時間的余裕の欠如は、前頭前野(判断や抑制を司る部位)の機能低下を招き、衝動的言動を増やします。

② 評価制度の歪み

評価軸 リスク
成果のみ 過程軽視・強圧的指導
コンプライアンスのみ 形式的対応・隠蔽傾向

③ 相談窓口の機能不全

形式的な窓口設置だけでは再発防止には不十分です。
第三者性・守秘性・迅速性の担保が不可欠です。

 

4. 行為者への実務対応プロセス

① 事実整理と影響の可視化

行為内容だけでなく、「受け手にどのような心理的影響が生じたか」を構造的に整理します。

② 防衛反応を下げる対話設計

直接的な非難ではなく、「影響の共有」という枠組みで提示します。
例:「この発言により、部下は〇〇と感じた可能性があります。」

③ 行動目標の具体化

  • 遮らず最後まで聞く
  • 30秒間は制度説明をしない
  • 感情受容の言葉を先に置く

 

5. 思考パターンを変える具体的トレーニング

① 二層処理トレーニング

訴えには「感情層」と「制度層」があると整理し、感情層から応答する訓練を行います。

② 影響認知ワーク

自身の発言を第三者視点で書き出し、影響を客観視します。

③ アンガーマネジメントの実践

6秒ルール(衝動抑制の時間確保)など、科学的知見に基づく方法を導入します。

 

6. 再発防止の組織設計

① 定期的な360度フィードバック

上司評価だけでなく、多面的なフィードバックを制度化します。

② 管理職研修の高度化

単なる法令説明ではなく、行動変容設計まで踏み込みます。

③ 経営層のコミットメント

トップメッセージが曖昧だと、現場の改善は進みません。

 

7. よくある質問(FAQ)

Q1. パワハラ行為者は自覚しているのですか?

多くは「指導の一環」と認識しており、影響への自覚が不十分なケースが目立ちます。

Q2. 一度の研修で改善しますか?

単発研修では難しく、継続的フォローが必要です。

Q3. 優秀な人材を失うリスクは?

適切な支援を行えば、能力を活かしつつ行動改善は可能です。

Q4. 相談窓口は匿名が良いですか?

匿名性は重要ですが、調査可能性とのバランスが必要です。

 

8. まとめ|今すぐできる行動

  • 自組織の評価制度を点検する
  • 管理職に影響認知ワークを導入する
  • 相談窓口の機能を再確認する
  • トップメッセージを明確化する

 

 

参考・情報源

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメント対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121091.html
  • 内閣府 男女共同参画局 ハラスメント関連資料 https://www.gender.go.jp
  • Google re:Work Project Aristotle https://rework.withgoogle.com
  • American Psychological Association Emotion Regulation https://www.apa.org

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