2025/11/13
New Information – 2025 November 13
一般社団法人パワーハラスメント防止協会からのお知らせ
パワハラ通報時の加害者対応|調査・処分手順と再発防止は当協会へ
パワハラ通報後の加害者対応に悩む企業担当者へ。調査・懲戒・再発防止策を実務視点で解説。行為者更生研修で根本改善を支援。
本記事では、〈社内で〈パワーハラスメント〉(以下「パワハラ」)の通報がなされた〉という局面において、企業や組織が加害者(行為者)に対してどのような対応をとるべきかを、制度的根拠や実務上の留意点を交えて整理します。通報を契機とした対応が遅滞したり、誤った対応をしたりすると、被害拡大・企業リスク・信頼失墜につながるため、慎重かつ迅速なアプローチが求められます。信頼性・専門性・権威性を担保しつつ、読みやすさ・実務活用性を重視しました。
目次
- なぜ通報後の加害者対応が重要なのか
- 通報を受けてまず押さえるべき基本ステップ
- 加害者(行為者)に対する具体的な措置とその留意点
- 再発防止・関係修復をめざしたフォロー-アップ対応
- 加害者対応における法的・リスク管理の視点
- ケース別に見る「加害者対応の分岐点」―どこで何を選ぶか
なぜ通報後の加害者対応が重要なのか
パワハラの実態と通報件数の状況
厚生労働省による調査では、「過去3年以内にパワハラを受けたことがある」と回答した労働者が19.3%に上ると報告されています。 また、労働局への相談件数も毎年6万件を超えており、企業・組織でパワハラへの対応が喫緊の課題となっています。
通報を受けた後、加害者対応を軽視すると生じるリスク
通報を受けただけで対応を怠った場合、以下のようなリスクがあります:
- 被害者が安心して働けない環境が継続し、精神的・身体的影響が深刻化する
- 同じ加害者が複数回行為を繰り返す「二次被害・連鎖」が発生する
- 対応が不十分であれば、企業自身が「安全配慮義務違反」や「雇用管理上の措置義務違反」として争われる可能性があります。
- 外部公表・社会的信用の低下・訴訟・損害賠償などにつながる
通報後の対応が組織文化・風土に与える影響
加害者対応をきちんと行うことは、「ハラスメントは許されない」というメッセージを組織内に発信することになります。そして、これが適切に実行されることで、再発防止・相談しやすい風土づくり・従業員の安心感構築にもつながります。逆に、対応が曖昧・甘いままだと「泣き寝入り」感や「見て見ぬふり風土」が生まれ、離職やモラル低下を招きます。
通報を受けてまず押さえるべき基本ステップ
ステップ1:通報内容の確認と相談窓口の活用
通報を受ける際、まず以下を確認します:
- 相談窓口が設置されているか(また、匿名・実名どちらか)
- 通報の内容(事実関係・いつ・誰に・どのような言動か)を整理
- 通報者の相談者保護がなされているか、通報者・相談者に不利益扱いがないか
ステップ2:事実関係の初動確認と加害者・被害者の隔離配慮
通報を受けた後、速やかに行うべきこととして以下が挙げられます:
- 加害者とされる行為者と被害者との接触を可能な限り減らす配慮(例:配置転換・別室対応)
- 通報者・被害者・加害者に対して“一時的な別扱い”が必要かを検討
- 関係者ヒアリング・証拠確保(メール・チャット・録音・メモ)等を事前に設計する
ステップ3:調査委員会・関係者ヒアリングの実施
適切な調査体制を設けることが求められており、具体的には下記留意点があります:
- 複数名(できれば第三者含む)による調査委員会の設置が望ましい。
- 加害者・被害者双方からヒアリングを行い、証拠と照合する。 ※加害者に対しては「言い分を聞く=弁明(弁解)機会」の確保が重要です。
- ヒアリング内容・日付・出席者・証拠を記録化し、内部統制・労務リスク対策とする。
加害者(行為者)に対する具体的な措置とその留意点
措置①:懲戒処分・配置転換・処遇変更
調査によってパワハラ行為が確認された場合、具体的に以下の措置が検討されます:
- 懲戒処分(戒告・減給・出勤停止・降格・解雇)
- 配置転換・職務変更・部門異動等により被害者との接触機会を減らす。
- 業務内容の見直し・加害者に対する教育・研修受講命令
措置②:教育・研修・カウンセリング支援
加害者への対応として、懲戒だけでなく「改善・再発防止」の視点も重要です。例えば:
- ハラスメント防止研修を受講させる
- 専門カウンセリングやコーチングによる行動変容支援
- 加害者・被害者双方に対する関係改善のための対話機会を設ける(条件付き)
ここで、特に注目すべきは、〈一般社団法人パワーハラスメント防止協会〉が提供する 「パワハラ加害者(行為者)更生カウンセリング研修」 です。 この研修では、加害者・行為者本人の背景や特徴を分析し、オリジナルプログラムを構築のうえ、行動変容をサポートする仕組みが整えられています。まさに「皆さまのお悩みを解決します」という姿勢で構築されたものであり、加害者対応と再生支援という両面において効果的な選択肢となりうるものです。 組織としてこのような専門プログラムを活用することで、単なる処罰型対応に留まらず「人材再生・職場環境改善」を包括的に実現する機会となります。
措置③:処分後のフォロー/記録保管・評価への反映
加害者に対して措置をとったら、その後も次の対応が重要です:
- 処分の内容・理由・今後のフォロー計画を記録・保管し、期限管理を実施
- 人事評価・昇進機会・配置転換時の考慮において、再発有無・改善状況を一定期間モニタリングする
- 被害者のフォロー状況・職場風土の変化も合わせてチェックし、加害者の行動改善に役立てる
再発防止・関係修復をめざしたフォロー-アップ対応
職場の職務関係・接触機会の見直し
加害者と被害者が同じ職場、あるいは上司‐部下関係である場合、再発リスクが高まります。したがって、以下のような配慮が必要です:
- 被害者と加害者の接触を物理的・心理的に断つ配置変更やローテーションの検討。
- 加害者の監督者を明確化し、定期フォローも実施
- 職場環境(業務量・役割・ストレス)を見直し、ハラスメント発生の背景因子を解消
関係修復と職場風土改善のための施策
被害を受けた側・影響を受けた側を含めて、職場の風土改善を図るためには以下のアプローチが有効です:
- 被害者へのケア(心理的サポート、復職支援、業務調整)
- 加害者・被害者双方を含めた集団研修・ワークショップで「他者を尊重するコミュニケーション」を醸成
- 定期的なハラスメントに関する職場アンケート・意識調査を実施し、状況を可視化
- 従業員に向けて「ハラスメント防止の方針」「相談窓口」「対応責任者」を再周知し、透明性を確保
モニタリングと継続改善ループの確立
「一度対応したら終わり」ではなく、継続的にチェックを行うことが重要です:
- 再発がないか定期的にモニタリング、被害者・加害者双方の状況を把握
- 対応記録を一定期間保管し、社内外の監査・内部統制資料とする
- 改善が不十分と判断される場合には、より重い措置や外部専門家の介入を検討
加害者対応における法的・リスク管理の視点
関連法制度と企業の雇用管理上の義務
主な制度として以下があります:
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(以下「労働施策総合推進法」)改正により、職場におけるパワハラ防止のための雇用管理上の措置が事業主に義務付けられています。
- 対応が不十分な場合、行政による指導・勧告、場合によっては企業名公表・20万円以下の過料などのリスクがあります。
- 懲戒処分を行う際、加害者に対して弁明機会を与えることなどが裁判例上も重視されています。
通報が「公益通報」になるかどうかの留意点
なお、職場のパワハラ通報は必ずしも「公益通報」制度の対象とはなりません。 つまり、職場内のハラスメント通報が直ちに「公益通報者保護法」の適用を受けるものではないため、内部通報制度・ハラスメント対応ルールの整備があらためて重要です。
記録保全・証拠保存・説明責任の確保
加害者対応を適切に行うためには、透明性ある対応と説明責任(アカウンタビリティ)が求められます:
- 事実調査の過程・判断根拠・取った措置を文書化・保管
- 加害者・被害者双方が処分や対応内容について理解できるよう説明を行う
- 社内外の監査や労務リスクに備え、記録の適切な管理を行う
ケース別に見る「加害者対応の分岐点」―どこで何を選ぶか
ケースA:軽度な言動/初回の通報
例えば、「他の社員の前で声を荒らげた」「必要以上に叱責したが身体的侵害なし」など、初回・軽度の言動だった場合には:
- 事実確認を経て、まずは戒告または指導・研修措置を実行
- 加害者に研修受講、一定期間業務内容の変更などを併用
- 被害者のケアと接触機会を一時的に制限
ケースB:継続的な言動/被害が大きい/複数の証言あり
複数回にわたる言動、被害者が精神的負荷を抱えるなど重大な状況では:
- 懲戒処分(減給・出勤停止・降格)を視野に入れ、就業規則を根拠に対応
- 配置転換・職務変更により被害者との接触を遮断
- 加害者に対して改善プログラム・カウンセリング・外部専門家の関与を検討
ケースC:被害者が休職・精神疾患に至った/外部機関介入あり
被害者が深刻な健康障害を抱えたり、労働局・裁判所へ通報・相談がなされたケースでは:
- 解雇や分限免職といった最重処分も選択肢となり得るが、加害者の弁明機会・手続きの適正が不可欠
- 企業として「安全配慮義務違反」「雇用管理上義務違反」のリスク評価を実施
- 再発防止策の強化・外部監査・顧問弁護士・社労士の関与を検討
まとめ:主要学び/次アクション
以下に、この記事の要点と、今すぐ動けるアクションを整理します。
【主要学び】
- パワハラ通報を受けたら加害者対応を後回しにせず、初動対応が組織の信頼を左右する。
- 調査・処分・フォローアップという「対応フロー」を制度・実務両面で設計することが重要。
- 加害者には懲戒だけでなく教育・改善支援を行い、再発防止・職場風土改善を図るべき。
- 法的義務・リスク管理視点(就業規則、弁明機会、記録保全、安全配慮義務)を無視すると、企業にとって大きな負担となる。
【次アクション】
- 自社(組織)の就業規則・ハラスメント規定を見直し、「パワハラ行為者(加害者)に対する措置」を明記・適用可能とする。
- 通報窓口・相談体制の整備・運用状況を点検し、匿名相談・被害者・加害者双方の保護がなされているかチェック。
- 通報発生時の初動フロー(ヒアリング体制、証拠確保、加害者・被害者分離)を社内マニュアル化・周知する。
- 加害者対応の選択肢(懲戒、配置転換、研修、カウンセリング)を人事・労務部門と共有し、実行可能なプロセスを整備。
- 再発防止のため、職場アンケート・意識調査を定期実施し、職場風土改善を継続する。
- 加害者更生をめざす場合、専門機関(例えば「一般社団法人パワーハラスメント防止協会」の 「パワハラ加害者(行為者)更生カウンセリング研修」 です。 )の活用を検討する。
FAQ(よくある質問)
Q1:加害者であるかどうか確定しない段階で配置転換してもいいですか?
A:証拠・調査の裏付けがないまま、過度に重い配置転換や処分を行うと「人事権の濫用」「不利益変更」として争われる可能性があります。しかしながら、被害者の安全確保の観点から「一時的な職務変更・接触制限」は合理的配慮として検討可能です。
Q2:通報の内容が匿名・記録があいまいですが、加害者に対して措置できますか?
A:匿名通報であっても、一定の調査を経て「合理的に確認可能な事実」が認められれば、措置を検討できます。ただし、手続き(ヒアリング・弁明機会・証拠確認)を省略すると、後の処分の正当性が問われるおそれがあります。
Q3:加害者への教育研修やカウンセリングは必須ですか?
A:法令として「必ず研修・カウンセリングを実施せよ」という明文規定はありませんが、ハラスメント根絶の観点・企業責任軽減の観点から実務的には強く推奨されます。改善支援がなされていないと、再発リスクや企業責任が残るからです。
Q4:被害者と加害者を同じ部署に残しても問題ありませんか?
A:可能な限り被害者と加害者を同じ部署に残すことは避けるべきです。心理的安全や再発防止の観点から、分離または適切な監督体制・業務見直しが求められます。
Q5:加害者に懲戒解雇を行ったら、訴訟で争われる可能性はありますか?
A:はい、懲戒解雇を含む重い処分を行う際には、就業規則の懲戒規定、加害者への弁明機会の付与、調査過程の適正性・証拠の確保が重視されます。これらが欠けると、懲戒無効・労働者からの損害賠償請求のリスクがあります。
参考・情報源
- 職場におけるハラスメント-防止のために(厚生労働省) – https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html
- 職場におけるハラスメント(厚生労働省PDF) – https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001338359.pdf
- パワハラ加害者の配置転換に対する注意点について – https://www.e-syaroushi.com/17066804653626
- パワハラの判断基準とは!?厚労省ガイドラインと裁判例を交えて – https://www.kitelab.jp/guide/roumu/harathment/judgment_criteria/
- 「知らなかった」じゃ済まされない!パワハラ防止措置を怠った企業 – https://www.spiral-platform.co.jp/article/harassment-consultation/7237/
- 「パワハラ加害者(行為者)更生カウンセリング研修」サービス案内 – https://www.phpaj.com/service/rehabilitation
- 内部通報制度とパワハラ対策義務化の対応フロー – https://tokyo-startup-law.or.jp/magazine/category04/internal-reporting-system/

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