Column – 98
【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
マンネリ化したパワハラ防止研修を効果的にするためのプログラム

パワーハラスメント(パワハラ)防止研修は、多くの企業や組織で定期的に実施されています。しかし、毎年同じ内容や手法で繰り返されることで、参加者の関心が薄れ、形骸化・マンネリ化してしまうケースも少なくありません。その結果、本来の目的である「パワハラの未然防止」と「職場風土の改善」が十分に達成されなくなる危険性があります。
本記事では、マンネリ化したパワハラ防止研修を再活性化し、参加者一人ひとりの「気づき」と「実践」に繋げるための効果的なプログラム構成を提案します。
現状の課題

- 毎回同じ動画や資料の繰り返しで、参加者が内容を覚えてしまい新鮮味がない
- 受け身の座学中心で、主体的な参加やディスカッションが少ない
- 具体的な職場の実情に即していないため、自分ごと化しにくい
- 研修後のフォローや現場での実践に繋がりにくい
効果的なパワハラ防止研修のポイント

マンネリ化を打破するためには、学びの体験に「気づき」「考える」「行動する」段階を盛り込み、参加者が自発的に学び、職場での実践に繋げられるような仕組みが重要です。以下のような点に配慮してプログラムを設計します。
- ロールプレイやケーススタディなど、参加型・体験型の手法を導入する
- 自職場の“リアル”な事例や悩みを持ち寄り、ディスカッションやグループワークを行う
- パワハラの定義や最新の判例・制度改正情報をアップデートする
- 正しい知識だけではなく、気軽に相談・指摘できる職場風土づくりも目指す
- 研修後のフォローアップや行動変容を促す仕掛けを用意する
新しいパワハラ防止研修プログラム例

1. オープニング(イントロダクション)
- 研修の目的・ゴールを共有
- パワハラがなぜ問題なのか、自分たちの職場での影響について一緒に考える
- 参加者同士の自己紹介やアイスブレイクで場を和らげる
2. 知識編:最新のパワハラ動向と法制度
- パワハラの定義・6類型・よくあるグレーゾーンの紹介
- 最近の社会的な動きや判例、厚生労働省のガイドラインなど最新情報を反映
- 組織や自分への影響(生産性低下、離職、企業イメージダウン等)を具体的に説明
3. 体験編:ケーススタディ・ロールプレイ
- 実際にあった事例や参加者から集めた実例を使って、グループで対応を考える
- ロールプレイで「加害者」「被害者」「第三者」など複数の立場を体験し、気づきを深める
- 意見交換しながら、多様な視点を得る
4. ディスカッション:自職場の課題を考える
- 「実はグレーゾーンかもしれない」と思う現場の悩みや疑問を共有
- 少人数のグループで、自分たちの職場で起こりがちなケースについて解決策を考える
- 管理職・現場リーダーと従業員で意見交換し、風通しをよくする
5. アクションプラン作成
- 各自が明日から取り組める「小さな行動目標」を記入
- グループで目標を共有し、現場での実践を意識する
- 管理職は現場でのフォローや声かけのポイントをまとめておく
6. まとめ・質疑応答・アンケート
- 今日の学びを振り返り、気づきを共有
- 疑問・不安な点をクリアにしてから研修を終える
- アンケートで現場の課題や今後の希望を吸い上げる
研修効果を高めるための工夫

1. 研修前の“事前ヒアリング
- 現場の実態や困りごとを事前アンケートなどで収集し、内容をカスタマイズ
- “誰のための研修か”を明確にして、参加意識を高める
2. 研修後の“フォローアップ”
- 1〜2か月後にリマインドメールやショート動画で復習できる仕組み
- 実践例の共有会や、相談しやすい雰囲気づくりのためのミニミーティング等の実施
3. 管理職・リーダー層向けの追加プログラム
- 管理職が「気付きにくいパワハラ」「無意識のハラスメント」について学ぶ場を設ける
- 相談を受けた時の適切な対応方法をロールプレイで体験
まとめ
パワハラ防止研修を効果的なものにするには、参加者が「自分ごと」「現場の課題」として捉えられる仕掛けと、学びを行動に繋げるフォローが不可欠です。座学一辺倒の一方通行な研修から、参加型・体験型・職場密着型のプログラムへとシフトすることで、形だけでなく「実効性」を持ったパワハラ防止が実現できます。
本提案が、皆様の職場でのパワハラ防止研修の新たな一歩となり、より健全で安心できる職場環境づくりに寄与することを願っています。
