2025/12/02
New Information – 2025 December 2
一般社団法人パワーハラスメント防止協会からのお知らせ
新任管理職のための就任前パワハラ防止1on1研修の効果と意義
一般社団法人パワーハラスメント防止協会が提供する新任管理職が就任前に受講すべき「パワハラ防止1on1研修」の意義と、なぜ有効なのかを解説。管理職研修・ハラスメント対策・1on1運用の観点から具体的に紹介します。
1. 新任管理職に求められる役割とパワハラリスク
管理職に昇格すると、これまで部下として業務に臨んでいた立場から、チームを「統率・育成・指導」する役割へと変化します。特に新任管理職(昇格直後)は、マネジメント経験が浅く、指導・面談・1on1といった対話型関係構築に不安を抱えることが少なくありません。実際、管理職研修における調査では「昇進直後や役職変更のタイミング」が最も効果的な実施時期であるとされています。
一方で、管理職の言動が部下に与える影響は極めて大きく、特に〈優位性〉を背景とした不適切な言動=いわゆる「パワーハラスメント(パワハラ)」の温床となる可能性があります。パワハラ行為は、被害者・加害者・企業全体に対して深刻な影響を及ぼします。例えば、管理職層を対象とした研修において「職場のコミュニケーションが活性化した/風通しがよくなった」と回答した企業が35.9%に上ったというデータもあります。
つまり、新任管理職には、部下との信頼関係を築きつつ、ハラスメントリスクを予防して健全な組織風土を描く「対話力」「認識力」「予防力」が強く求められています。
1.1 新任管理職ならではの“落とし穴”
- 指導やフィードバック時の切り替えがうまくできず、〈命令型〉や〈叱責型〉のコミュニケーションに偏る
- 1on1・日常面談が形骸化し、部下が本音を言えない状況に陥る
- ハラスメントの定義・ラインが曖昧なまま“自分流”になり、リスクが可視化されない
こうしたリスクを前提に、「就任前」あるいは「昇格直後」に予防的アプローチを講じることが、いわゆる“被害が出てから取り組む”よりもはるかに有効と考えられます。
2. 1on1(ワン・オン・ワン)とは何か・その意義
1on1とは、上司と部下が「1対1」で定期的に面談を行い、進捗確認だけでなく、部下が抱える悩み・疑問・将来志向・成長機会などを対話を通じて共有する場です。
ハラスメント予防の観点からも、1on1の意義は次のように整理できます:
- 部下が“萎縮せず”“本音を話せる場”をつくることで、「疑問」「不満」「誤解」が露呈しやすくなる。
- 上司が部下の思考・感情・働き方を理解することで、早期に問題兆候を発見しやすくなる
- コミュニケーションの頻度と質の改善が、ハラスメントリスクを低減する対話型文化を醸成する
ただし、1on1が形式的・単なる報告会的になってしまうと逆に部下のモチベーション低下を招き、ハラスメントへつながる可能性も指摘されています。実際、1on1によってモチベーションが下がったと感じた経験者が54.2%に上るという調査もあります。
したがって、1on1を“効果的に機能させる”ためには、上司側のスキル・意識・対話設計が不可欠です。
3. 「新任管理職向け就任前パワハラ防止1on1研修」の特徴と内容
ここで、一般社団法人パワーハラスメント防止協会が提供する「新任管理職向け就任前パワハラ防止1on1研修」について、その特徴・講座内容・導入メリットを整理します。詳細はこちらのサービス紹介ページをご参照ください。「新任管理職向け就任前パワハラ防止1on1研修」。
3.1 主な特徴
- 昇格前または昇格直後の管理職候補・新任管理職を対象としているため、部下育成・指導・対話という“これから”の局面に備えられる
- パワハラの定義・最新法令・判例・実態を整理し、管理職自身が「自分の言動・判断を振り返る」機会を提供
- 1on1型コミュニケーション技法を通じて、部下と信頼関係を築くための対話設計・ロールプレイ・ケース演習を実施
- 就任前というタイミング設定によって、パワハラ発生後の“対応”ではなく“予防”的姿勢を醸成
3.2 カリキュラム例と導入メリット
| モジュール | 内容 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| パワハラの理解 (定義・判例・法令) |
パワハラの6類型(身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係からの切り離し・過大要求・過小要求・個の侵害)等を整理。 | 管理職自身の言動を振り返り、認識のブラインドスポットを明らかにする |
| 1on1対話設計/ロールプレイ | 部下との1on1場面を想定し、「聞く」「促す」「応える」プロセスを体験。 | 形式的ではない対話を設計でき、部下が安心して話せる関係性構築に寄与 |
| ケース演習 | 実際のハラスメント発生場面を想定し、「どう指導・対話するか」を模擬。 | 当事者意識が高まり、行動変容への意欲が醸成される |
以上のように、「就任前」「パワハラ防止」「1on1強化」という三つの視点を掛け合わせたプログラム設計が、他の一般的な研修と差別化されています。
4. なぜこの研修が“有効”と言えるのか:専門性・実証的根拠から
この種の研修が有効であることを裏付けるポイントを整理します。
4.1 管理職向けハラスメント研修の有効性
ハラスメント防止研修を導入した企業においては、「職場のコミュニケーションが活性化した/風通しがよくなった」と回答した割合が35.9%におよび、さらに「管理職の意識が変わった」との回答も32.4%を示しています。
また、研修後に「指導への躊躇がなくなった」「部下との会話に前向きになれた」といった声も多数報告されています。
4.2 1on1の活用が部下・上司双方に有効である根拠
1on1が適切に機能したとき、部下のエンゲージメントが上がり、上司も“部下育成”が楽になるという変化を報告する事例があります。
一方で、1on1が形骸化したり、上司が一方的な報告会にしてしまったりすると、54.2%が「モチベーション低下を感じた」と回答しています。
つまり、1on1そのものではなく「対話の質」をどう高めるかが鍵です。
4.3 就任前というタイミングと“予防型”設計の強み
多くの研修が「発生後・問題発覚後」に着手される中、就任前・昇格直後の管理職に向けたプログラムは“最初の一歩”“クセづけ”として有効です。これは、管理職がまだ自身の役割を固める前の段階で、対話・指導・ハラスメント防止という意識を統合的に身につけられるという意味があります。管理職研修の研究でも、昇進直後のタイミングが効果発揮に有利とされています。
さらに、研修設計として「管理職自身の当事者意識・行動変容」を重視することで、知識習得だけで終わらず、実際に場面・対話・習慣として定着させる設計がなされています。こうした設計は、「知って終わり」ではないハラスメント防止研修の“盲点”への対応としても有効であると指摘されています。
5. 導入企業が注意すべきポイントと成功を左右する要素
研修を実施すれば自動的に効果が出るわけではありません。導入企業が押さえるべきポイントを以下に整理します。
5.1 管理職自身の“本音・潜在課題”を把握する
管理職育成の現場では「研修設計が受講者の本音・潜在ニーズを捉えていない」ことが効果非発現の一因とされています。
したがって、研修実施前に「どんな指導に悩んでいるか」「部下との対話で何が障害になっているか」をヒアリングしておくと、参加意欲・学びの定着性が高まります。
5.2 継続・フォローアップ設計を含める
ハラスメント防止研修では、「一度きり」で終えてしまうと効果がスポット的になり、行動変容にはつながりにくいと指摘されています。
したがって、就任前研修だけで終わらせず、昇格後の1on1実践フォロー・定期振り返り・部下からのフィードバックなど、習慣化を支える設計が鍵です。
5.3 研修内容を“自社・部門の実態”に即したものにカスタマイズ
一般的な学びを押し付けるだけでは、管理職にとって「形だけの研修」と映ってしまい、離脱・モチベーション低下を招く原因となります。
実務で使える役割演習・部門特有の指導場面・実際の1on1記録の振り返りなど、自社の文化・課題に即した演習の設計が定着性を高めます。
6. まとめ:学びと次のアクション
本稿では、「新任管理職向け就任前パワハラ防止1on1研修」がなぜ新任管理職にとって有効なのかを、管理職役割・1on1の意義・研修設計の観点から整理しました。
6.1 主要な学び
- 新任管理職は昇格直後に「指導・対話・ハラスメント予防」という三つの役割を同時に担うため、早期の研修介入が効果的。
- 1on1はハラスメント予防の重要なコミュニケーション基盤となるが、質が伴わなければ逆効果となる可能性がある。
- “就任前”“予防型”“1on1特化”という研修設計は、従来型の知識伝達型ハラスメント研修を超える有効性を持つ。
- 研修効果を最大化するには、管理職の本音把握・継続フォロー・実務カスタマイズという三大条件を押さえる必要がある。
6.2 今すぐできるアクション
- 自社における「新任管理職昇格者の数」「1on1実施状況」「パワハラ発生件数・傾向」を把握する。
- 昇格直前・直後の管理職に対して、予防的研修(特に1on1を含む)を検討し、複数社提供プログラムを比較検討する。例:https://www.phpaj.com/service/newmanager
- 研修と並行して、1on1運用のガイドラインを整理し、「信頼関係を築く」「傾聴」「部下の本音を引き出す」設計を立てる。
- 研修実施後、数か月ごとに1on1頻度・部下満足度・ハラスメント相談件数などをモニタリングし、継続支援・振り返りを設ける。
FAQ:よくある質問
Q1. なぜ“就任前”に研修する必要があるのですか?
A. 昇格・役職変更のタイミングは、管理職自身が役割を再構築する時期です。早期に「指導・対話・予防」の認識を持つことで、パワハラ発生前に“習慣化”を作ることができます。
Q2. 1on1だけではハラスメント防止にならないのでしょうか?
A. その通りです。1on1は対話促進の有効手段ですが、「形式化」「押しつけ型」「上司の一方的発言」では逆効果となる可能性もあります。質を伴う運用設計・研修による習慣化が鍵です。
Q3. 研修を受講すれば“パワハラが完全になくなる”のでしょうか?
A. いいえ。研修はあくまで“意識・スキル・行動変容”を促す手段の一つです。継続的フォロー・運用設計・組織文化の醸成がなければ、発生リスクはゼロになりません。
Q4. どのようなフォローが研修後に必要ですか?
A. 例として「1on1実施ログの振り返り」「部下からの匿名アンケート」「上司の対話スキル再演習」「振り返りワークショップ」などがあります。継続性を確保することで、研修効果の定着を図れます。
参考・情報源
- 新任管理職向け就任前パワハラ防止1on1研修 – 一般社団法人パワーハラスメント防止協会 https://www.phpaj.com/service/newmanager

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