【管理職研修】パワハラ防止はコミュニケーション力の向上が鍵になる

Column – 90
【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
【管理職研修】パワハラ防止はコミュニケーション力の向上が鍵になる

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パワハラを未然に防ぐうえで、コミュニケーションの質こそが鍵を握ります。単に叱る・注意するのではなく、相手の立場を理解し、感情に配慮した対話が重要です。

本記事では、管理職研修を通じて部下との信頼関係を強化し、パワハラを防ぐ実践的なコミュニケーションスキルを解説します。

 

なぜコミュニケーションがパワハラ防止に直結するのか

パワハラの背景には、多くの場合“誤解・対話不足・信頼関係の欠如”が存在します。管理職と部下の関係が希薄だと、小さな注意が誤解を生み、指導が威圧感や拒絶のサインと受け取られかねません。

管理職研修では、まず信頼関係が成り立つ環境づくりの重要性を理解させます。部下が「自分の気持ちを言える」「相談できる」と感じられれば、指導は成長の一助となり、不適切なコミュニケーションを未然に防ぐ効果が期待できます。

 

管理職に必要な4つのコミュニケーションスキル

以下のスキルは、研修で重点的に育成すべき“パワハラを防ぐコミュニケーションの柱”です。

スキル具体的内容防止への効果
傾聴力相手の話を遮らずに最後まで聞き、気持ちや背景を受け止める部下の心情を理解し、誤解を減らす
質問力「なぜそう思う?」「どう感じた?」と考えを引き出す対話が一方通行にならず、共感的関係を築く
アサーティブ表現「私」が主体となりつつ、相手への配慮も含めて伝える言い方自分の意見を伝えつつも部下を尊重できる
感情コントロール怒りや焦りなどを自覚し、冷静に対話できるよう調整する感情的な叱責を防ぎ、話題を建設的に保つ

これらを組み合わせることで、部下が指導を「攻撃」と感じず、「改善のための建設的な対話」として受け取れる交流が可能になります。

 

研修で効果を高める具体的な演習プログラム

管理職向けのパワハラ防止研修では、知識のインプットだけでなく、実践的な演習を通じて「行動のクセ」を変えていくことが非常に重要です。ここでは、コミュニケーション力を高めるために効果的な演習を詳しくご紹介します。

① ロールプレイ:リアルな場面での模擬対応

目的:日常業務で起こりがちな場面を再現し、自分の言動や態度を客観的に見直す。
進め方:「部下がミスをしたとき」「意見が衝突したとき」など、具体的なシナリオを基にペアまたはグループで実施。加害者役・被害者役・観察者役に分け、演じた後にフィードバックを交換する。
注意点:演じる側の恥ずかしさを和らげるため、最初はシンプルな事例から始める。進行役(ファシリテーター)が安心できる雰囲気を作ることがポイント。

② ペア対話トレーニング:傾聴・質問・伝達を体感

目的:普段使いの言葉を見直し、「聞く→引き出す→伝える」の流れを身につける。
進め方:2人1組で、片方が悩み相談役、もう片方が管理職役として5分間の対話を行う。最初の2分間は徹底して傾聴、次にオープンクエスチョン(「どう思う?」「なぜそう感じた?」)で深掘り、最後に自身の意見をアサーティブに伝える。
注意点:ついアドバイスを先に言ってしまわないよう、相手の話に耳を傾ける時間をきちんと確保することが大切。

③ 感情認識&コントロールワーク

目的:自分の怒り・不満・焦りの傾向を認識し、冷静に対応する力を養う。
進め方:「最近イライラした職場の場面」を思い出し、その時の感情・身体反応・考えたことをシートに記入。続いて「どのように対応できたか」「どんな言葉に変えられるか」をペアで共有しながら整理していく。
注意点:参加者が自分の弱さを開示しやすいよう、正解を求めるのではなく「気づき」を尊重する雰囲気づくりが大切。

④ ケーススタディディスカッション

目的:現場で起こりうる複雑な状況を、チームで考えながら対応力を磨く。
進め方:実際のパワハラ相談事例やフィクションシナリオを提示し、「これは指導かパワハラか」「どう対応すべきだったか」を小グループで話し合う。発表後に講師が専門的な解説を加えて着地点を共有。
注意点:判断が分かれるグレーゾーンをあえて選び、「答えのない問い」に向き合う姿勢を養うことがポイント。

⑤ フィードバック技術演習

目的:否定的な伝え方ではなく、前向きに改善を促す表現を身につける。
進め方:部下へのNGワード例(例:「使えないな」「なんでこんなこともできないの?」)を、受け入れられるフィードバックに言い換える練習。「事実+期待」「行動+改善策+励まし」の3要素を意識して言い換え表現を作成。
注意点:「怒らない」ではなく「伝える順序や言葉を工夫する」ことに焦点を置き、形だけの優しさにならないよう実用性を重視。

これらの演習を通じて、参加者は「こう言えばよかった」「このタイミングで言うべきだった」といった具体的な気づきを得ることができます。研修終了後にも使える「振り返りシート」や「対応チェックリスト」を配布しておくと、行動定着がより強化されます。

 

信頼関係構築がもたらす組織への波及効果

コミュニケーションスキルが高まると、研修後の変化は管理職個人だけに留まりません。部下との対話が増え、相談や改善の促しが自然に生まれるようになります。

組織レベルでは、次のような効果が期待できます。

効果具体的な変化
離職率の低下部下が相談しやすくなり、早期対処が可能に
生産性の向上無駄な緊張や摩擦が減り、チームワークが円滑に
ブランド価値維持健全な職場文化が外部にも伝わり、採用力にもプラス

管理職と部下のコミュニケーションが改善されることで、日常のストレスや誤解が解消され、職場全体の心理的安全性が向上します。

 

まとめ

パワハラ防止において、コミュニケーション技術こそが最も重要な武器となります。管理職研修では、傾聴・質問・アサーティブ表現・感情コントロールといったスキルを演習を通じて育成し、部下との信頼構築を図ります。

信頼関係が強まれば、指導が適切に受け止められ、パワハラの芽を摘むことが可能になります。組織全体の健全性を高めるためにも、本記事で紹介した方法を研修に取り入れてください。

 

FAQ

Q1: 傾聴のコツは?
A1: 相手の言葉を遮らず、最後まで聞き、要点を繰り返す“反射的に要約する”ことで相手の安心感が高まります。

Q2: アサーティブ表現とは?
A2: 「あなたはどうしたの?」ではなく「私はこう感じた」という伝え方で、主張と配慮を同時に伝える技術です。

Q3: 感情コントロールが苦手な管理職へのアドバイスは?
A3: 深呼吸や一呼吸置く癖を身につけるほか、自身の感情の傾向を振り返り事前に対策を研修で計画しましょう。

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