一般職向けパワハラ防止研修を講師派遣で行う効果的な進め方と注意点

Column – 83
【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
一般職向けパワハラ防止研修を講師派遣で行う効果的な進め方と注意点

Column – 83


職場の人間関係やコミュニケーションにおいて、無意識に生じるパワーハラスメント(パワハラ)は、従業員のモチベーションを下げ、職場環境に悪影響を与えます。 企業として防止策を講じる中で、「外部講師を招いた研修」は非常に効果的な選択肢です。本記事では、一般職向けに行うパワハラ研修について、講師派遣の活用法と注意点をわかりやすく解説します。

パワハラ研修の目的と意義

パワーハラスメント(パワハラ)は、組織の大小にかかわらず、あらゆる職場で起こりうる深刻な問題です。厚生労働省による定義にもあるとおり、優越的な関係を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的な苦痛を与える行為は、従業員のメンタルヘルス、ひいては企業の信頼性や生産性にも直結します。

こうした背景のもとで実施される「パワハラ防止研修」は、単に“ハラスメント行為をやめさせる”ことが目的ではありません。より広い視点から職場全体の意識と文化を見直し、未然にトラブルを防ぐ仕組みを根付かせることが真の目的です。

パワハラ研修が担う5つの役割

  1. 自覚のない加害リスクに気づかせる
    パワハラの多くは、「悪気がなかった」「指導のつもりだった」という誤認識から生まれます。研修では、具体的な事例やロールプレイを通じて、自分の言動がどう受け取られるかを考える力を育てます。
  2. 「被害にあっているかもしれない」と気づく機会
    被害者が「これは我慢すべきことかも」「自分が弱いから悪いのかも」と感じてしまうケースは少なくありません。研修は、そうした感情を整理し、「これは相談すべきこと」と認識する契機にもなります。
  3. 第三者(傍観者)の行動指針を提示する
    パワハラは、直接関与しない第三者の「沈黙」によって温存されがちです。研修では「目撃したらどうするか」「関係者として何ができるか」といった視点も扱い、職場全体の予防力を高めます。
  4. 組織としてのコンプライアンス意識の醸成
    法改正に伴い、パワハラ防止は企業の「義務」となっています。研修は、法令順守の意味を現場レベルで理解させ、組織としてのリスクマネジメントにも直結します。
  5. 心理的安全性の向上
    誰もが安心して意見を言える、萎縮しない職場は、組織の創造性や持続的な成長に大きく寄与します。研修はその土台づくりを担います。
補足:パワハラ研修は「悪い人を教育するもの」ではなく、「誰もが陥り得る構造を全員で理解し、改善していく」取り組みです。

一般職向け研修ならではのポイント

管理職向けとは異なり、一般職向け研修では「部下や後輩への接し方」よりも、「同僚とのやり取り」「上司に対する報告・相談の方法」など、より身近な関係性に焦点を当てた内容が求められます。

また、権限を持たない立場だからこそ、「被害を受けたときの対処方法」や「どこに相談すればよいか」といった具体的な対応策を、事例ベースで伝えることが効果的です。

研修の実施が企業にもたらす効果

  • 社員間の信頼関係が深まり、定着率・満足度が向上する
  • 職場でのトラブルが未然に減少し、対応コストが下がる
  • 対外的な「ハラスメント対策企業」としての信頼が高まる

このように、パワハラ研修の意義は単なる“啓発”にとどまりません。企業文化や風土をより健全にする第一歩として、今や欠かせない制度となっています。

講師派遣のメリットとは?

社内研修と比較して、講師派遣型には以下のような強みがあります。

  • 専門的な知識:法律・労務・心理に基づいた体系的な内容。
  • 第三者視点:しがらみのない立場から、鋭い指摘や気づきを提供。
  • 双方向型研修が可能:ロールプレイ・グループ討議など、受講者が主体的に学べる。

研修を成功させる6ステップ

  1. 現状ヒアリング:社内の課題を洗い出す(匿名アンケートなど)
  2. 目的の明確化:「一般職がどこでつまずいているか」を言語化
  3. 講師選定:業界や職種理解がある講師を選ぶ
  4. カスタマイズ設計:社内実例や言い回しを取り入れる
  5. 実施:オンライン・対面・ハイブリッドなど状況に応じて
  6. フォローアップ:研修後アンケートや振り返りミーティングを行う

当日のプログラム例

時間 内容 形式
10:00〜10:30 パワハラの基礎知識と事例 講義
10:30〜11:00 ケーススタディ(グループワーク) ディスカッション
11:00〜11:30 ロールプレイ:指摘と対応の練習 演習
11:30〜12:00 まとめと質疑応答 Q&A

よくある失敗と注意点

  • 抽象的すぎる内容:「自分ごと」として感じられないと、定着しません。
  • 一度きりの実施:継続的な取り組みが信頼につながります。
  • なんでもかんでもパワハラにする:研修の内容によっては適切な指導すらもパワハラと主張するようになる可能性もあります。

まとめ

パワハラ防止研修を講師派遣で実施する際は、内容の充実だけでなく、「どんな研修を誰のために行うか」を明確にしておくことが成功のカギです。 受講者が「自分にも関係がある」と気づく仕掛けや、現場で使える具体的な対処法を伝えることで、学びは行動に変わっていきます。 一般職にこそ、「無意識の一言」に気づく機会が必要です。

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