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【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
なぜ大手研修会社のパワハラ防止研修では現場が変わらないのかを徹底解説
なぜ大手研修会社のパワハラ防止研修では現場が変わらないのかを、人事・管理職・経営者向けに実務の視点から解説します。研修が定着しない原因、組織が抱える課題、改善の進め方、効果を高めるポイントまで体系的に整理し、職場改革につながる実践策を紹介します。

パワーハラスメント防止対策に取り組む企業は増えています。その一方で、「毎年研修を実施しているのに相談件数が減らない」「管理職の言動が変わらない」「受講後しばらくすると元の状態へ戻ってしまう」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
こうした状況では、研修を実施したという事実だけが残り、職場環境の改善につながっていないケースが見受けられます。これは担当者の努力不足ではなく、研修の設計や運用方法が現場の課題と一致していないことが原因になる場合があります。
企業が本当に目指すべきことは、研修を開催することではなく、職場の行動変容を継続的に生み出すことです。人事部門だけでなく、経営層や管理職が同じ方向性を持ち、組織全体で改善を進める仕組みづくりが求められます。
本記事では、一般社団法人パワーハラスメント防止協会が、大手研修会社のパワハラ防止研修で現場が変わらない理由を整理しながら、実務で成果につながる研修の考え方と導入方法について詳しく解説します。
「研修を実施しているのに成果が見えない」と感じている企業ほど、一度取り組み方を見直すことで改善の糸口が見つかる可能性があります。
現在の研修内容や職場の課題について個別に整理したい場合は、専門機関へ相談しながら進める方法も有効です。
なぜパワハラ防止研修を実施しても現場が変わらないのか
企業がパワーハラスメント防止へ取り組む背景には、法令への対応だけではなく、人材確保や離職防止、生産性向上といった経営課題があります。それにもかかわらず、多くの企業では毎年のように研修を実施しているにもかかわらず、相談件数や組織風土に大きな変化が見られないという課題が残っています。
その理由は単純ではありません。研修内容だけではなく、受講者の意識、管理職への支援体制、人事制度、相談窓口の運用など複数の要因が重なっているためです。研修だけに改善を期待すると、職場全体の変化にはつながりにくくなります。
研修を実施すること自体が目的になっている企業が少なくない
企業の人事担当者は限られた予算やスケジュールの中で研修を企画します。そのため、「毎年実施しているから」「法令対応として必要だから」という理由で前年と同じ内容を繰り返してしまうことがあります。
もちろん、継続して学ぶ機会を設けること自体は大切です。しかし、毎回同じ講義形式では受講者の理解度は徐々に低下します。管理職は「以前も聞いた内容」と受け止め、新たな気付きが生まれにくくなるためです。
企業では、研修終了後にアンケートで満足度を確認するケースが一般的ですが、満足度が高いことと職場の行動が変わることは別の問題です。分かりやすい講義だったとしても、翌日から管理職の指導方法が改善されるとは限りません。
本来、人事担当者が確認すべき指標は「研修を実施したか」ではなく、「管理職の言動がどう変わったか」「相談件数や職場のコミュニケーションにどのような変化があったか」です。ここまで検証できて初めて、研修の効果を正しく評価できます。
そのため、研修は単独のイベントではなく、組織改善プロジェクトの一つとして位置付ける視点が欠かせません。
知識だけでは管理職の行動は変わらない
多くのパワハラ防止研修では、法律の概要やパワーハラスメントの定義、企業の責任について丁寧に説明されます。知識を習得する段階としては重要ですが、それだけでは実際の職場で適切な対応ができるようにはなりません。
管理職が直面するのは、部下の育成が思うように進まない場面や、感情的になりそうな状況、業務品質を維持しながら厳しい指導を行わなければならない場面です。このような状況では、法律の条文を思い出して判断するわけではなく、日頃のコミュニケーション習慣やマネジメント経験が行動に大きく影響します。
実際には、「部下にどこまで注意してよいのか分からない」「指導を避けるようになってしまった」「適切なフィードバックの方法が分からない」と悩む管理職も少なくありません。その結果、必要な指導まで控えてしまい、組織全体の生産性へ影響するケースもあります。
行動変容を促すためには、知識だけでなく、自社で起こり得る事例を基にしたケーススタディやロールプレイング、受講後の振り返りまで含めた設計が求められます。現場で迷わない判断基準を身に付けられる内容でなければ、職場改善には結び付きにくくなります。
職場の実態を把握しないまま研修内容を決めている
成果が上がらない企業に共通する特徴の一つが、現場の課題を分析せずに研修内容を決めていることです。全社共通のプログラムを導入すれば一定の知識は得られますが、それだけでは部署ごとに異なる課題へ対応できません。
営業部門では目標達成へのプレッシャーから強い指導が起こりやすく、製造部門では安全管理を優先する指示が誤解されることがあります。医療・介護・教育など対人サービスでは、利用者対応による精神的負担が背景となる場合もあります。同じパワーハラスメント対策でも、現場ごとの状況によって重点的に扱うテーマは変わります。
人事担当者は、相談窓口の内容、ストレスチェックの傾向、離職理由、管理職面談、従業員アンケートなどを分析したうえで、自社特有の課題を整理する必要があります。その結果を踏まえて研修内容を設計することで、受講者は「自分たちの職場の話」として受け止めやすくなります。
画一的なプログラムではなく、組織課題に合わせて内容を調整できる研修こそ、現場の行動変容につながりやすいと言えます。
大手研修会社のパワハラ防止研修に共通する課題
大手研修会社には豊富な実績や体系化された教育プログラムがあり、多くの企業で導入されています。その一方で、「研修自体は分かりやすかったが現場は変わらなかった」という評価が一定数存在することも事実です。
もちろん、すべての大手研修会社に当てはまるわけではありません。しかし、多数の企業へ同一品質で提供するビジネスモデルだからこそ生じやすい課題があります。人事担当者は知名度や受講人数だけで判断するのではなく、自社の課題を解決できる内容になっているかという視点で検討することが欠かせません。
汎用プログラムでは組織固有の課題に対応しにくい
多くの大手研修会社では、一定の品質を維持するために標準化されたプログラムを採用しています。この仕組みは全国どこでも同水準の内容を受講できるという利点がありますが、一方で個別企業が抱える課題を十分に反映しにくい側面があります。
同じ「パワーハラスメント防止」がテーマでも、企業によって課題は異なります。急成長企業では管理職育成が追い付かず指導方法が属人化していることがあります。老舗企業では長年の組織文化が影響し、「昔からこのやり方だった」という考え方が根強く残っている場合もあります。こうした背景を踏まえずに一般論だけを学んでも、自社の課題として腹落ちしにくくなります。
現場では、「このケースは自社ではどう判断すればよいのか」「部署特有の事情を考えるとどこまで指導してよいのか」といった具体的な疑問が生まれます。ところが、標準化された教材だけでは十分な回答を得られず、受講後も判断基準が曖昧なまま残ることがあります。
組織改善を目的とするのであれば、自社の相談事例や管理職の課題、職場風土などを事前に分析し、それを反映した内容へ調整できるかどうかが重要な判断基準になります。
法律の説明に時間を割き過ぎている
パワーハラスメント防止研修では、法令の理解は欠かせません。しかし、研修時間の大半が法律や制度の説明に費やされると、実際の職場で役立つ内容が十分に扱えなくなることがあります。
管理職が本当に悩む場面は、法律の条文ではなく日常業務の中にあります。部下のミスが続いたときの伝え方、感情的になりそうな状況での対応、経験の浅い社員への指導方法など、現場では瞬時の判断が求められます。
知識として法令を理解していても、実務へ結び付かなければ職場は変わりません。「これは注意なのか、それともパワーハラスメントになるのか」と迷う状況を想定したケーススタディや意見交換がなければ、受講者は翌日から行動を変えることが難しくなります。
法律を学ぶ時間と実践的な演習の時間をどう配分するかは、研修全体の成果を左右する要素です。実務を重視する企業では、講義だけではなく、管理職同士が意見を交わしながら判断基準を整理する時間を多く設けています。
その結果、単なる知識習得ではなく、「自分ならどう対応するか」を考える機会が増え、行動変容につながりやすくなります。
研修内容を見直したい場合は、自社課題に合わせたプログラム設計が可能かどうかを確認しておくことが重要です。
研修後のフォローアップが不足している
行動科学の分野では、一度学習した内容でも時間の経過とともに記憶が薄れやすいことが知られています。これは企業研修でも同様であり、一回限りの受講だけでは職場での実践が定着しないことがあります。
研修当日は理解したつもりでも、数週間後には通常業務へ戻り、従来の指導方法へ戻ってしまう管理職は少なくありません。人事担当者が「研修を実施した」という事実だけで安心してしまうと、その後の変化を確認する機会が失われます。
成果を上げている企業では、受講後に管理職面談を実施したり、ケース検討会を開催したり、半年程度を目安に振り返り研修を行うなど、継続的な支援を組み合わせています。こうした仕組みによって、現場で生じた悩みを共有しながら改善を積み重ねることができます。
また、相談窓口の運用状況やストレスチェック、離職理由、エンゲージメント調査などの結果も合わせて確認することで、研修が組織へ与えた影響を多面的に評価できます。
パワーハラスメント対策は単発イベントではなく、継続的な組織改善活動として設計することが欠かせません。
効果測定がアンケートだけで終わっている
研修終了後に実施されるアンケートでは、「内容が分かりやすかった」「講師の説明が丁寧だった」といった感想が集まります。もちろん受講者満足度を把握することは重要ですが、それだけでは研修の成果を判断できません。
企業が確認すべきなのは、受講者の満足度ではなく職場で起きた変化です。管理職のコミュニケーションが改善したのか、相談しやすい雰囲気が生まれたのか、部下との面談頻度が増えたのかなど、行動指標を確認する必要があります。
以下は、研修効果を確認する際に活用しやすい指標の一例です。
アンケート結果だけでは見えない変化を把握するため、複数の指標を組み合わせることが望まれます。
| 評価項目 | 確認内容 | 実務での活用例 |
|---|---|---|
| 相談件数 | 相談しやすい環境になったか | 相談窓口の利用状況を分析する |
| 管理職面談 | 指導方法の変化 | 上司・部下双方へヒアリングする |
| 離職率 | 職場環境改善との関連 | 部署別に推移を比較する |
| ストレスチェック | 心理的負担の変化 | 高ストレス部署を確認する |
| 360度評価 | 管理職行動の変化 | 継続的な育成計画へ反映する |
こうした複数の指標を継続的に確認することで、研修が組織へどのような影響を与えているのかを客観的に把握しやすくなります。人事部門がデータを蓄積していくことで、翌年度以降の教育内容も改善しやすくなり、投資効果を高めることにもつながります。
成果が出る企業は何が違うのか
同じようにパワーハラスメント対策へ取り組んでいても、組織風土が改善する企業と、ほとんど変化が見られない企業があります。その違いは研修時間の長さではありません。経営層、人事部門、管理職が共通の目的を持ち、研修を組織改革の一部として位置付けているかどうかにあります。
成果を上げている企業では、研修はスタート地点に過ぎません。その後の面談、評価制度、相談体制、管理職育成まで含め、一貫した仕組みとして運用されています。
経営層が組織課題として位置付けている
パワーハラスメント対策を人事部門だけの仕事として考えている企業では、現場への浸透に限界があります。管理職は人事施策として受け止めるだけになり、自分自身のマネジメントを見直す機会になりにくいためです。
一方で成果が出ている企業では、経営層が「健全な職場づくりは経営課題である」と明確に発信しています。管理職評価や人材育成方針にもその考え方が反映されているため、現場でも行動変容が起こりやすくなります。
企業文化はトップメッセージによって大きく左右されます。管理職は経営層が本気で取り組んでいると理解したとき、自らのマネジメントを見直す意識が高まり、組織全体の改善へつながっていきます。
管理職が「指導できる自信」を身に付けている
パワーハラスメント対策が進む一方で、管理職からは「どこまで注意すれば問題にならないのか分からない」「部下との距離感が難しい」といった声が聞かれることがあります。その結果、必要な指導まで避けるようになり、業務品質の低下や人材育成の停滞につながるケースもあります。
成果を上げている企業では、「叱らない管理職」を育成しているわけではありません。目指しているのは、相手の人格ではなく行動や事実に基づいて指導できる管理職を育成することです。問題が発生した場面では感情的な表現を避け、期待する行動や改善方法を具体的に伝えるコミュニケーションが定着しています。
そのためには講義を受けるだけでは不十分です。実際の職場で起こりやすいケースを用いて、「この場面ではどのような言葉を選ぶべきか」「どこまで指導してよいのか」を考える演習が欠かせません。現場に近い状況を繰り返し経験することで、管理職は迷いなく適切な対応を選択できるようになります。
一般社団法人パワーハラスメント防止協会でも、パワーハラスメントを防ぐことと部下育成は対立するものではなく、適切なマネジメントによって両立できるという考え方を重視しています。部下への配慮だけではなく、組織として成果を出すための指導方法まで含めて学ぶことが、職場改善には欠かせません。
相談しやすい組織風土を継続的につくっている
パワーハラスメント対策というと、加害行為を防ぐことへ注目が集まりがちです。しかし実務では、問題が深刻化する前に相談できる環境を整えることも同じくらい重要になります。
相談窓口を設置していても、「相談すると評価が下がるのではないか」「上司へ知られてしまうのではないか」と不安を抱えている従業員は少なくありません。このような状態では制度だけが存在し、実際には機能しないまま終わる可能性があります。
成果を上げている企業では、相談制度の存在を周知するだけではなく、相談後の流れや秘密保持の考え方まで丁寧に説明しています。また、相談件数だけを評価するのではなく、「早い段階で相談できたこと」を前向きな行動として捉える文化づくりを進めています。
管理職も相談窓口を活用できる仕組みにすることで、自分自身のマネジメントに悩んだ際にも専門家へ相談しやすくなります。その結果、問題が深刻化する前に改善策を講じられるようになり、組織全体のリスク低減にもつながります。
相談しやすい職場は、パワーハラスメント防止だけではなく、心理的安全性の向上や離職防止、エンゲージメント向上にも好影響を与えます。研修だけで終わらせず、日常的なコミュニケーションまで含めて改善を進めることが重要です。
効果を高めるパワハラ防止研修の設計方法
研修の成果は、講師の話し方だけで決まるものではありません。事前準備から実施後のフォローまでを一つのプロセスとして設計することで、初めて現場の行動変容へつながります。ここでは、実務で成果につながりやすい研修設計のポイントを紹介します。
研修前に組織課題を可視化する
効果的な研修を実施するためには、現在の組織がどのような課題を抱えているのかを把握する必要があります。課題分析を行わずに一般的な教材を使用すると、受講者にとって「どこの会社でも当てはまる話」という印象になり、自分事として受け止めにくくなります。
人事担当者が確認したい情報には、相談窓口への相談内容、ストレスチェックの集団分析、離職理由、管理職面談の内容、従業員アンケートなどがあります。これらを組み合わせることで、部署ごとの特徴や共通課題が見えやすくなります。
営業部門では高い目標設定によるプレッシャー、製造現場では安全確保のための厳しい指導、専門職では経験差によるコミュニケーション不足など、組織によって課題は大きく異なります。その違いを踏まえた教材を用意することで、受講者の理解と納得感は大きく変わります。
研修の準備段階に十分な時間をかけることは、当日の満足度だけでなく、受講後の実践にも直結します。企業独自の課題に合わせて設計された研修は、標準的なプログラムよりも現場への定着率が高くなる傾向があります。
ケーススタディを自社の実情に合わせる
研修で扱われる事例が実際の業務とかけ離れている場合、受講者は「自社には当てはまらない」と感じてしまいます。反対に、自社で起こりそうな場面を題材にすると、管理職は自然と自分の行動を振り返るようになります。
ケーススタディでは、正解を一つだけ示すのではなく、複数の対応方法を比較しながら議論することが効果的です。同じ状況でも管理職によって判断が異なることがあり、その違いを共有することで組織全体の判断基準をそろえることができます。
また、部下役と管理職役に分かれてロールプレイングを行うことで、指導する側だけではなく受け取る側の感情も理解しやすくなります。言葉遣いや表情、声の大きさなど、文章だけでは伝わらない要素まで確認できるため、実践力の向上につながります。
ケーススタディは研修当日だけで終わらせず、管理職会議や定例ミーティングなどでも継続的に活用することで、組織全体の共通認識を維持しやすくなります。
受講後の行動計画まで設計する
研修終了時に「勉強になった」で終わってしまうと、現場での実践には結び付きません。成果を上げている企業では、受講後に具体的な行動目標を設定し、一定期間後に振り返りを行う仕組みを取り入れています。
たとえば、「毎月一回は部下との一対一の面談を実施する」「注意するときは事実と期待する行動を分けて伝える」「部下の意見を最後まで聞いてから助言する」といった行動目標を決めることで、学んだ内容を日常業務へ取り入れやすくなります。
人事担当者は、管理職任せにするのではなく、上司との面談や評価制度とも連動させながら継続的に確認することが重要です。行動計画が定着すれば、パワーハラスメント防止だけではなく、部下育成や組織コミュニケーション全体の改善にもつながります。
管理職教育で重視すべき実践ポイント
パワーハラスメント防止は、人事部門だけが担う取り組みではありません。日常的に部下と接する管理職の行動が変わらなければ、職場環境は大きく改善しないためです。実務では「何を教えるか」だけではなく、「どのような行動を定着させるか」という視点が欠かせません。
「指導」と「感情」を切り分けて伝える技術を身に付ける
パワーハラスメントが問題となる場面では、業務上の指導そのものよりも、伝え方や感情の表現が原因になっていることが少なくありません。同じ内容を伝える場合でも、人格を否定する表現と、業務上の改善点を具体的に伝える表現では、受け手の印象は大きく異なります。
管理職には成果を求められる立場だからこそ、部下のミスや遅れに強いストレスを感じる場面があります。その瞬間に感情を優先すると、「どうして毎回できないのか」「向いていないのではないか」といった人格評価へ発展しやすくなります。一方で、「この手順では品質基準を満たしていない」「次回はこの工程を確認してほしい」と事実に基づいて伝えることで、改善につながる対話へ変えることができます。
管理職教育では、単に「怒ってはいけない」と教えるのではなく、感情を整理しながら指導する技術を身に付けることが重要です。そのためには、自分がどのような場面で感情的になりやすいのかを振り返り、冷静に対応する方法まで学ぶ必要があります。
組織として共通のコミュニケーション基準を持つことで、管理職ごとの指導方法にばらつきが生じにくくなり、部下も安心して業務へ取り組めるようになります。
問題が起きてからではなく日常の対話を増やす
パワーハラスメントが発生する職場では、普段から管理職と部下のコミュニケーションが不足していることがあります。業務上の会話が指示や注意だけになると、部下は管理職へ相談しづらくなり、小さな問題が積み重なってしまいます。
成果を上げている企業では、評価面談だけではなく、短時間でも定期的な一対一の面談を実施しています。仕事の進捗だけではなく、困っていることや改善したいことを確認する時間を設けることで、信頼関係を築きやすくなります。
重要なのは、管理職が一方的に話すことではありません。部下の話を最後まで聞き、背景や事情を理解したうえで助言を行うことが、心理的安全性の向上につながります。その積み重ねが、重大なトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
管理職教育では、傾聴や質問技法などのコミュニケーションスキルも組み合わせて学ぶことで、より実践的な内容になります。
加害者対応まで含めた体制を整備する
パワーハラスメント対策では、被害者支援が重視される一方で、加害行為を行った本人への対応が十分に整理されていない企業もあります。しかし、適切な対応を行わなければ同様の行為が繰り返される可能性があり、組織としての再発防止にはつながりません。
加害行為が認定された場合には、事実確認や就業規則に基づく対応だけではなく、なぜその行動が起きたのかという背景も確認する必要があります。管理能力の不足、強いストレス、長年の指導方法など、複数の要因が重なっている場合もあります。
そのため、処分だけで終わらせるのではなく、必要に応じてパワハラ加害者への教育や、更生を目的とした支援を組み合わせることが再発防止につながります。本人が自らの行動特性を理解し、適切なコミュニケーションを身に付けることが、職場全体の安全性向上にもつながります。
組織として「処分するか、しないか」という二択ではなく、改善を促す仕組みまで整えることが、長期的な組織改革には欠かせません。
一般社団法人パワーハラスメント防止協会が重視する考え方
パワーハラスメント対策では、法律を理解することも重要ですが、それだけでは現場は変わりません。実際の職場では、人材育成、組織マネジメント、コミュニケーション、企業文化などが複雑に関係しています。そのため、現場に根付く対策を進めるには、組織全体を視野に入れた実践的なアプローチが求められます。
組織改善まで見据えた支援を重視している
一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、単発の講義ではなく、企業ごとの課題分析から実施後のフォローまで含めた支援を重視しています。相談内容や組織風土を確認し、自社特有の課題へ合わせたプログラムを設計することで、現場で実践しやすい内容へつなげています。
また、管理職だけではなく、経営層、人事担当者、一般社員など、それぞれの役割に応じた内容を設計することも特徴です。同じ内容を全員へ実施するのではなく、立場ごとに必要な知識や判断基準を整理することで、組織全体の共通認識を形成しやすくなります。
組織改善は一度の取組で完了するものではありません。継続的な確認と改善を繰り返しながら、職場に適した仕組みを構築していくことが重要です。
再発防止には加害者支援も必要という視点
パワーハラスメント対策では、被害者支援と再発防止を両立させる必要があります。そのためには、加害行為を行った本人への適切な対応も欠かせません。
一律の処分だけでは、本人が問題行動の背景を理解できず、部署異動後や時間の経過とともに同じ行動を繰り返してしまう可能性があります。再発防止を目的とするのであれば、管理能力やコミュニケーション方法を見直す機会を設けることが重要になります。
一般社団法人パワーハラスメント防止協会では、必要に応じてパワハラ加害者への支援や更生プログラムも含め、組織全体の安全性向上を目指しています。これは加害者を擁護するためではなく、同じ問題を繰り返さないための実務的な取り組みです。
企業として再発防止を本気で目指すのであれば、被害者支援、管理職教育、組織改善、加害者対応までを一体的に考えることが求められます。
FAQ
Q1. パワハラ防止研修は毎年実施する必要がありますか。
法律上、一律に毎年の実施が義務付けられているわけではありません。しかし、管理職の異動や新任管理職の着任、組織体制の変更、法令や社会的要請の変化を踏まえると、継続的な教育は組織運営上有効です。重要なのは回数ではなく、前回と同じ内容を繰り返すのではなく、組織課題や相談事例を反映しながら内容を更新することです。
Q2. オンライン研修だけでも十分な効果は期待できますか。
知識を習得する目的であればオンライン形式でも一定の効果は期待できます。一方で、管理職の行動変容やコミュニケーション改善を目的とする場合には、ケーススタディやロールプレイング、意見交換などを組み合わせた双方向型の学習が望まれます。オンラインと対面を組み合わせる方法も有効な選択肢です。
Q3. パワーハラスメントを恐れて指導できない管理職が増えています。どのように対応すべきですか。
指導そのものが問題になるわけではありません。業務上必要な指導を、目的・根拠・伝え方を整理したうえで行うことが重要です。管理職には、事実に基づくフィードバックや部下との対話方法を学ぶ機会を設けることで、過度に萎縮することなく適切なマネジメントを実践しやすくなります。
Q4. 研修の効果はどのように測定すればよいでしょうか。
受講後アンケートだけでは十分とは言えません。相談窓口の利用状況、離職率、ストレスチェックの集団分析、管理職面談、360度評価、従業員アンケートなど複数の指標を組み合わせることで、職場環境や管理職の行動変化を継続的に確認できます。
Q5. パワーハラスメントが発生した場合は処分だけで十分でしょうか。
事実確認や就業規則に基づく適切な対応は不可欠です。ただし、再発防止という観点では、それだけでは十分とは限りません。管理能力やコミュニケーション上の課題を整理し、必要に応じてパワハラ加害者への支援や更生の機会を設けることで、同様の問題が繰り返されるリスクを低減しやすくなります。
まとめ
大手研修会社のパワハラ防止研修で現場が変わらないと言われる背景には、研修そのものの質だけではなく、組織課題との不一致や、受講後のフォロー不足、効果測定の方法など、複数の要因があります。知識を学ぶだけでは、管理職の日常行動や組織風土まで変えることは容易ではありません。
実際に成果を上げている企業では、研修を単発イベントとして終わらせず、組織課題の分析、管理職教育、相談体制の整備、継続的な振り返りまでを一体的に進めています。その結果、管理職が安心して適切な指導を行えるようになり、相談しやすい職場づくりや人材育成の質の向上にも結び付いています。
また、再発防止を本気で目指すのであれば、被害者支援だけではなく、管理職への継続教育や、必要に応じたパワハラ加害者への支援も含めた総合的な対策が欠かせません。問題が発生してから対応するのではなく、未然防止と組織改善を両立させる視点が重要になります。
「研修を実施した」という実績ではなく、「職場がどのように変わったか」を評価することが、これからのパワーハラスメント対策に求められる考え方です。自社に合った取り組みを検討する際には、組織課題を踏まえた実践的な支援を受けながら進めることで、より高い効果が期待できます。
自社の現状を客観的に整理し、実効性のあるパワーハラスメント対策を進めたい場合は、専門機関へ相談しながら課題を可視化することも有効な方法です。
情報源
- 厚生労働省「職場におけるハラスメント対策」
https://www.mhlw.go.jp/ - 厚生労働省「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/ - 厚生労働省「労働施策総合推進法」
https://www.mhlw.go.jp/ - 中央労働災害防止協会
https://www.jisha.or.jp/ - 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)
https://www.jil.go.jp/ - 一般社団法人パワーハラスメント防止協会
https://www.phpaj.com/
