パワハラ防止研修のマンネリ化を防ぐための方法とは

Column – 85
【パワハラ防止研修お役立ちマニュアル】
パワハラ防止研修のマンネリ化を防ぐための方法とは

Column – 86


同じ内容・同じ講師・同じ進行…毎年繰り返されるパワハラ防止研修に、社員の“聞き流し”が見受けられませんか?今日は、研修が定着し、成果につながるよう、「マンネリ化」を打破する実践的な工夫を紹介します。

なぜ研修はすぐマンネリ化するのか?

一度受けた研修を再受講する時、どこか「聞いたことある」という感覚に陥りがちです。その理由には:

  • 内容が毎回似通っている

  • 受講者の関心が減少し、無意識にスルーされる

  • 講師の話し方や進行に新鮮さがない

結果として、研修の「消化率」が落ち、実行力につながりにくくなります。

変化を与える4つの“仕掛け”

  1. 事例のアップデート
    最新の社内外事例(匿名可)や、旬のニュースを織り交ぜる。

  2. 参加型ワークの刷新
    ディベート・即興ロールプレイを組み込む。

  3. 講師スタイルの交替
    外部専門家、社内人事、現場管理職からローテーション登壇。

  4. 評価とフォローの強化
    匿名アンケート+2ヶ月後の効果確認。改善ポイント反映。

形式ごとの具体アイデア一覧表

形式 工夫ポイント 効果イメージ
講義型 ◯◯社の実体験を導入開始時に紹介 聞き流し防止、導入効果アップ
ワーク型 実際の職場事例をテーマにグループ討議 理解度向上、定着率向上
ロールプレイ型 即興お題+振り返りを挿入 感情理解と気づきの深化
オンライン併用 事前・事後eラーニングで基礎を補完 講義時間を短縮、対話・議論に集中


社内文化と連動させる“継続策”



  • 社長メッセージを公開:研修前後に直接のコメント動画を流す

  • 学習ログを社内ポータルで共有:「誰が・いつ・どんな学びをしたか」を見える化

  • 研修後フォロー会を実施:1ヶ月後のフォローアップ会議を設ける

  • 社内認定バッジ制:参加+理解度テスト合格で“社内メンター”認定

実際の改善効果を数字で見る


研修のマンネリ化を防ぐ取り組みが、どのように効果として表れるのか。ここでは、実際に企業が行った改善施策による数値変化をもとに、研修の刷新が現場にもたらす成果を具体的に見ていきましょう。

① 受講率の向上:65% → 91%

ある製造業では、過去に毎年パワハラ防止研修を実施していたものの、受講率は全体の約65%にとどまっていました。理由として、「内容がいつも同じ」「業務と被る」など、社員のモチベーション低下が挙げられました。

そこで、次の工夫を導入:

  • 動画+リアルワークのハイブリッド形式に変更

  • 所属部門別にロールプレイのシナリオを分ける

  • 研修日程を選択制にする(シフト制に配慮)

これらにより、受講への心理的ハードルが下がり、次年度には受講率が91%にまで改善しました。

② 満足度・理解度アンケート:「共感できた」40% → 75%

研修後アンケートにて、「研修内容に共感・納得できた」と回答した社員の割合は、改善前はわずか40%でした。

改善後は、以下のような取り組みを実施:

  • 講師が社内トラブル事例を匿名で紹介

  • 受講者自身に“加害者役”を任せる演習を導入

  • 講義中にリアルタイムで質問できる仕組みを用意

これにより、受講者の「当事者意識」が高まり、共感・納得の回答は75%に倍増。単なる“聞き手”から“考える参加者”への変化が生まれました。

③ パワハラ相談件数の変化:初動相談20%増

あるIT企業では、研修のリニューアル後、総務や外部相談窓口への連絡件数が前年比で20%増加しました。

一見ネガティブに見える数字ですが、これは裏を返せば、「パワハラを感じても、我慢せずに声を上げられる環境が整ってきた」という証拠です。

改善の背景には:

  • 相談先やフローを研修資料内で視覚的に明示

  • 「匿名相談」や「1次相談役(管理職以外)」の設定

  • 相談件数=リスク回避につながるという意識の浸透

この施策により、深刻なハラスメントに発展する前の“予兆”段階での相談が増え、対応が迅速になったことで、問題の長期化や人材流出の抑制につながりました

④ 離職率の改善:2年で15% → 9%

マンネリ打破により、企業文化の変化まで波及した例もあります。あるサービス業では、毎年の研修が形骸化し、特に若手社員の離職が続いていました。

新たに導入したのは:

  • 新入社員用、中堅層用に分けた階層別研修

  • 研修後1on1フィードバック面談をセット化

  • 人事部と現場リーダーの連携強化

その結果、2年間で離職率が15%から9%へと大幅に改善。研修が「自分を守ってくれる仕組み」として社員に認識され、心理的安全性の向上に寄与しました。

数値が示す“変化の兆し”


数値で振り返ると、マンネリ打破の効果は明確です。受講率・理解度・相談行動・離職率という複数の指標にわたり、研修の質を変えることで社員の反応も大きく変わってきます。

これらの数値は、単なるデータではなく、企業内の“安心感”や“働きやすさ”の高まりを示すリアルな兆候です。継続的な改善を続けることが、最終的に組織全体の信頼とパフォーマンスを高めていく道筋となるでしょう。

まとめ:研修は“仕掛け”が命

マンネリ化した研修はアウトプットも成果も薄くなります。話す内容より、その内容をどう届けるか、どう巻き込むかが重要です。事例の更新・講師の入替・参加者を動かす仕掛け・継続フォローという4ステップを取り入れることで、研修が「やって終わり」ではなく「成果につながる定着型プログラム」に変わります。

FAQ/よくある質問

Q. 小規模拠点でもできる工夫は?
A. eラーニング併用で対面時間を短縮し、事前課題+対面ワークに集中できます。

Q. 講師が限られているのですが…
A. 外部専門家やeラーニング導入で講師負担を減らしつつ、オンライン講師を招く手も有効です。

Q. 投資効果はどう示せますか?
A. 参加率・理解度アンケート・相談件数・定着の変化など、数値で比較すると効果が見えます。

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